下町の鮨
寿司といえば江戸。せっかちな江戸っ子のファストフードとして興隆した寿司文化において、ここ上野の街はメインストリームに近いのではないだろうか。
創業幾十年の名店が揃う上野の地で、地元の人たちに愛される「安くてうまい」名店を10店、選りすぐってご紹介。寿司屋選びの参考にしてみては。
①まぐろ人 御徒町出張所
いつも大盛況!感動の立ち食い寿司
アメ横のやや御徒町寄りにある立ち食い寿司店。高い回転率にもかかわらず、いつも列をなしている人気ぶりだ。ここでは目の前にあるネタを見ながら、食べたいものをチョイスしていく。
イカ、生ダコ、ホタルイカのつまみでスタート。小さめのシャリがペースよく食べるには持ってこい。
程よく酒が回ってきたタイミングで王道のネタを投入、など。
ペロッと食べてまた生ビール。そしてブリ・カンパチの握りでまたも生ビール。
最後の締めはかっぱ細巻きでフィニッシュ。立ちだから、サクッと粋な寿司体験。
シャリも程よい硬さで美味。刷毛塗りがしてあるなど、江戸前仕事をしているネタも豊富にある。ちなみに寿司も、刺身として注文する事も可能、少食の女性には嬉しいサービスだ。「マグロの赤身、刺身で下さい」と言えば、切りつけ盛り付けて出してくれる。
②鮨 一心
行列のできるイートイン
昭和61年に店を構えて以来「仕込みで味は決まる」を信念の元、伝統の技と味を貫いてきた「鮨一心」。湯島駅ほど近くに店を構える。
自慢の白木のカウンター席は15席を設けており、一人でも、気心知れたお相手とのお食事でも、様々なシーンに利用できる。板前との会話を愉しみながらゆっくりと寿司に酔える。また、小上がりの座敷席は掘りごたつとなっており、足を伸ばして寛げる。
赤酢と塩のみで仕上げるシャリの上で旬のネタが輝く珠玉の鮨は、好きなものを好きなだけ自由に楽しめる。旬魚の焼き物や自慢のツメを使用した煮物、蛤出汁を使用した味わい深い茶碗蒸しなど、様々な年齢層の胃袋をつかむ品々。特に穴子白焼は美味。酒との相性も抜群だ。
③沼津港海将
刺身のバイキング
上野駅から徒歩3分、御徒町駅より徒歩3分。「沼津港 海将」では、沼津港から直送される新鮮なお魚をお手頃価格で提供。とにかくコスパが優秀な海鮮料理屋だ。
その人気ぶりから「アド街ック天国」「スーパーJチャンネル」「KinKi Kidsのブンブブーン」「news every」で紹介されるなど話題性も折り紙付き。
毎日開催のランチバイキングは大目玉。45分1.200円バチマグロ、本日の地魚、静岡県産の〆サバ、カツオタタキなどなど、刺身で食べても良し、海鮮丼にしても良し!お好みで食べ放題の楽しいサービスだ。最終受付は14時。
飲み放題も破格の450円。生ビールサーバー、ハイボール、スパークリングワイン、日本酒、焼酎、梅酒、果実酒などのドリンクバーを設置。
マンボウの刺身はかなりタンパクな食感。肉質も固めで少し筋があるのがクセになる。
あんこうの唐揚げ。熱々のコリコリを、ハフハフしながらモグモグ。
サーモンピザは、裏の看板メニュー。海鮮居酒屋ならではの発想で、飽きのこない食の楽しみ。
④上野 榮
ゆったり本格江戸前鮨
四季の鮮魚の味わいを。上野「榮」は予約制のお任せコース1コースのみ。四季の食材により組み立てられるコースは春の山菜、夏の鮎、秋の松茸、冬のカニやフグなど、店主自ら市場で選び抜いた食材の個性を生かして調理される。美しい器に盛り付けられることで完成する一皿は、豊かな恵みを五感で堪能する。旬にこだわり、いつ来ても今一番美味しいものを。それが「おまかせ」の醍醐味。
メニューの一例をご紹介。
握りはまず中トロから。赤酢のシャリで食べる中トロは、脂の感じと酢飯の酸味が良いバランスだ。
昆布〆の平目の握り。程好い歯応えの握りを味わう。アッサリとしながらも旨味を感じる平目だ。
続いてシンプルな小肌の握り。〆加減の程好い小肌をしっかり楽しむ。スッキリとした後味。
あん肝味噌ペースト。酒のつまみとしてはちょうど良いあん肝。ビールから日本酒「豊盃 特別純米」に切り替えて。
もずくを合わせた茶碗蒸しはユニーク。オーソドックスな茶碗蒸しとは異なる味わいで非常に面白い。
最後は白玉だんごとあんこの組み合わせ。程好い甘みの水菓子を最後に楽しむ。
程好くつまみと寿司が食べられるコース構成となっている。
⑤吉池食堂
広々の海鮮食堂
「吉池食堂」は御徒町駅前の魚介専門店。新鮮魚介を市場の安さで提供するプロも認める名店だ。本店最上階に「吉池食堂」と銘打ち、御徒町の新たな食空間を誕生させた。
吉池はいわゆる“丸物”と呼ばれる丸ごと一匹の鮮魚スペースを今も広くとっている。四季や日によって変わる旬の魚がズラリと並ぶ様は壮観だ。中にはあまりお目にかかれない魚たちも。カニや貝類だっておまかせ。
「天ぷら定食」は海老のプリプリさが半端じゃない。キス・かぼちゃ・茄子・ししとうと、めちゃめちゃ美味しい天ぷらが1150円という安さ。
魚の新鮮さを活かした刺身はもちろん、アジフライなどの定食メニューも安くておいしいと評判だ。
[日曜・祝日] 11:00-22:00
⑥寿し 太一
湯島の路地裏 本格江戸前
上野広小路駅から徒歩2分、JR御徒町駅からおよそ70メートルにある。湯島天満宮からもほど近い、文京区の静かな路地裏のお店だ。
ランチメニューは、ばらちらし、穴子丼、親子丼、ネギトロ丼の4種類。
ばらちらし。大きめの海苔が2枚ついている。細かくちぎって散りばめるか、手巻寿司のようにして食べるように説明がある。
海苔をめくり、ご飯の部分を見ると、白ごま、錦糸玉子、桜でんぶが敷かれている。具材はいくらにとびこ、細かく刻まれたたこ、まぐろ、サーモン、昆布、貝、しそに載ったたらこ、がり、たくあん、オクラなどバラエティに富む。手巻きをしたあとは、具材とご飯を混ぜて、その上から醤油を軽くひとまわし。ご飯のお酢感は控えめ。リーズナブルでおいしい。
もちろん握りも美味。おまかせで1貫ずつ提供される握りは、どのネタも美しい。
静かで、落ち着いた雰囲気。大人の隠れ家のような名店だ。
[土] 17:00-21:00
⑦寿司幸
とろけるネギトロ
アメ横のすぐ近くで50年以上続く寿司屋。
おすすめはセット寿司、特上は2300円とリーズナブルだ。
こちらの名物はソフトボール大、トロトロ食感のねぎとろ。「ねぎとろ」の由来はネギトロという名称はすきみの料理法に由来する。元々捨ててしまうマグロの中落ち部分を使っており、身を骨の周りから削り取る=「ねぎ取る」から「ネギトロ」に変化したという。しかしとろけるの「トロ」かと思うほどの舌触りで美味しい。
昔は「御徒町の収まり処」とも。大昔は店に入って両側にカウンターを構えた、まさに地元の大衆店だったという。東北、新潟の両新幹線がまだ無い頃、福島や新潟への出張は「上野からの夜行列車」。北へ発つ人々は、夜遅く出発する列車に合わせて、ここで食事してから上野駅まで歩いたのだ。
[土曜]11:30-22:30
[日曜・祝日]11:30-21:00
⑧百万石
創業45年 洗練された寿司居酒屋
昭和通りより小路を少し入った知る人ぞ知る老舗の鮨屋。毎朝築地で買い付ける旬な新鮮魚介。そして熟練した技術と丁寧な仕事。
カウンター奥の存在感ある檜の冷蔵庫は、大きな氷で冷やすのでネタが乾かず冷えすぎず鮮度を保ったまま保存できる。
信州味噌で約3週間漬込んだ自家製カラスミは、しっとりして濃厚な味わい。北海道産のすじ子とたらこを酒粕で最低2週間漬込む事で甘みと風味豊かな逸品だ。
伝統的な江戸前の仕事をした鮪の漬け、キス、のどぐろ、金目などの昆布じめ、さらに東京湾の穴子、国産蛤でつくる煮蛤のつけ込みなどのお寿司と自家製のからすみの味噌漬け、くちこ、キスの一夜干しなどの各種焼物、蒸物も楽しめる。
特に「雲丹」は絶品。非の打ち所なく旨いと評判だ。伝統的な江戸前の基本、〆る、煮る、浸けるといったことを大事にしようという姿勢が伝わる鮨。直球勝負の鮨を上野で。
[土曜]11:00-14:00、16:00-21:00
⑨尽誠
メディア注目の名店
京成上野駅から200メートル、下町の夜景が美しいビルの上にある寿司屋。上野の街を見下ろす上質な夜景個室空間で、豊かな季節を感じさせる至高の逸品と、極上の「握り」を堪能。
旬の食材選びから手間暇惜しまぬ仕込み「煮る」「焼く」「しめる」「づけ」仕上げまでを大切に、丹念な手仕事が行き届いている。飲み物は日本酒、焼酎などこだわりの品々、お料理に合うものを厳選。
インド大トロが圧巻の美しさ。素敵な淡いピンク。筋のある部位ながら、全く筋を感じないのが処理の腕か。握りとしてはやや小振りで、お酒を飲みつつの食事には食べやすくて程よいサイズ。
【土曜・日曜・祝日】12:00-14:00、16:00-23:00
⑩よし寿司
ゆったり座敷で寿司
上野駅から徒歩2分、ゆったり楽しむ寿司・懐石の店「よし寿司」。天然ものにこだわり、季節や産地の旬を大切に考えながら吟味しているという。
豊洲市場で必要な量を毎朝直接仕入れることにより、握り寿司を一個100円~とリーズナブルに提供。掘りごたつの座敷席で、足元もゆったりとくつろげる。
寿司をつまみながらの日本酒は至高。呑兵衛には嬉しい、飲み放題はゆったり嬉しい3時間だ。
このお店の鉄火巻には、トロ巻きと呼びたいくらい脂の乗ったマグロが巻かれている。このとろける鉄火巻と、新鮮でパリパリと歯ごたえのあるきゅうりが巻かれた河童巻を交互に。脂とさっぱりが繰り返される無限ループ。
[土曜]11:30-22:30
[日曜・祝日] 11:30-22:00