名古屋の喫茶店でイニシエ空間に迷い込む
名古屋には喫茶店が約4,000軒あり、これは全国平均の2倍近い数だという。名古屋人はなぜそんなに喫茶店が好きなのだろうか? 喫茶店の開業ラッシュだった昭和30~50年代。ライバルと差とつけようと各店が空間やサービスの向上をはかり、レベルの高い喫茶店が増えていったといわれる。今では名古屋名物の一つとなった「モーニング」のようにコスパの良いサービスが、堅実で知られる名古屋人の好みにマッチしたのかもしれない。
とにかく名古屋の街には、今も創業当時の趣きを残す昭和レトロな喫茶店がそこかしこに存在する。年季の入ったソファに身をしずめて厚切りの小倉トーストなどかじりながら、めくるめく“イニシエ空間” に迷い込んでみては?
名古屋駅近くの喫茶店15選(目次)
店舗 (クリックで詳細) |
特徴や内容 |
① リヨン | 殿堂入りの名物喫茶店 |
② アルス サンロード店 | あんかけパスタは辛み強め |
③ コーヒーショップ KAKO(カコ) 花車本店 | “並んでも食べたい” 進化系小倉トースト |
④ クックタウン | これで無料!? 絶品サンドイッチに脱帽 |
⑤ ハセ珈琲店 | シンプル&リッチな小倉トースト |
⑥ フラワー | 種類豊富なあんかけパスタが自慢 |
⑦ サウンド・マーシー | お茶も食事も楽しめる喫茶店 |
⑧ 喫茶プチ | 380円でモーニングが食べられる店 |
⑨ アバンテ | 甘い物系も充実のエレガント系喫茶店 |
⑩ パーラーみかど | 地下街の片隅で名古屋の日常を感じる |
⑪ むらやま | ういろ専門店プロデュースの喫茶店 |
⑫ ドリアン | 午後も頑張れる「いってらっしゃい」 |
⑬ 喫茶モーニング | モーニングを自分流にカスタマイズ |
⑭ ホットジャム | 地元に溶け込むまどろみ名古屋時間 |
⑮ サンラファエル | “アメリカの田舎町” でくつろぎの非日常を |
① リヨン
殿堂入りの名物喫茶店
洗練されたビジネス街の一角に突如あらわれる昭和レトロな店構え。1974年創業の名古屋人なら誰もが知る老舗で、テレビや雑誌にもたびたび登場している。朝のみならず一日中食べられるモーニングが看板で、ドリンクをたのむと小倉あんプレスサンド、野菜プレスサンドなど6種類のいずれかを無料で選べる。フルーツプレスサンドは苺ジャム×パイナップルのコンビネーションで人によってはどハマりの味。また、定番の小倉トーストやケチャップたっぷりホットドッグにサラダや玉子がつくモーニングセットもおすすめだ。
近隣の会社員がここで商談をしたり、買い物客がホッと一息つく風景は昔から続くじつに名古屋らしいワンショット。タイムスリップしたような趣ある空間で連綿と受け継がれる名古屋の喫茶店文化にじっくりと身をゆだねてみて。
住所: 愛知県名古屋市中村区名駅南1-24-21 三井ビル別館B1
② アルス サンロード店
あんかけパスタは辛み強め
名駅地下街サンロードにある「アルス」は、昔ながらの喫茶店メニューをバラエティ豊かに楽しめるお店。とくにパスタが自慢で、ランチタイムはその日のおすすめパスタにサラダとデザートがセットになるので単品でたのむよりお得だ(ドリンクは付かない)。ミート、クリーム、トマト、和風とソースの種類もいろいろだが、言わずと知れた名古屋B級グルメのあんかけパスタもいちおし。「ソーセージのあんかけ」と「ほうれん草ときのこのあんかけ」の2種類があり、辛みのきいたあんは硬めの麺が浸るほどにたっぷりで見た目もインパクト大。
もちろんモーニングもあり、ドリンクを注文するとゆで卵とトーストがついてくる。9枚綴りで3,300円のコーヒーチケットを買って常連入りしたくなる居心地のよいお店。
③ コーヒーショップ KAKO(カコ) 花車本店
“並んでも食べたい” 進化系小倉トースト
柳橋交差点から北方向へ約200メートル。名古屋駅からは歩いて約10分と少し遠いが、朝から行列ができることもある人気店だ。並んでも食べたい… そのお目当てはここでしか会えない「シャンティールージュスペシャル」。こんがり焼いたトーストにホイップクリームと小倉あんをのせ、その上に自家製コンフィチュール(ジャム)をトッピングした小倉トーストの進化系といったところ。コンフィチュールは一から手作りしており苺やブルーベリー、ルバーブなど季節により違う味が楽しめる。ふわふわのクリームとまろやかな小倉あんにコンフィチュールの酸味が絶妙にマッチ。カラフルでフォトジェニックな見た目もファンの心をわしづかみにする。
店のある界隈はむかし「花車」という地名だったのだとか。昭和レトロな佇まいと独自進化した名古屋グルメの味。新旧名古屋の鮮やかなコントラストを楽しもう。
[土曜・日曜・祝日] 7:00-17:00
④ クックタウン
これで無料!? 絶品サンドイッチに脱帽
名古屋の有名喫茶店の一つで観光客も多いが、お店は昔から変わらぬ温かみのある雰囲気で絶賛営業中。
朝7:00~10:00のモーニングタイムに来店してドリンクをたのむと、当然のように出てくるホットサンドイッチ、これが圧巻。ほどよい焼き目が見るからに香ばしい三角切りトーストに、玉子(薄いオムレツのような)、きゅうり、マヨネーズ、ケチャップの断面美。しばし見とれた末にかぶりつくと、サクッとしたパンの小気味よい食感のあとから、はさまれた素材の旨みがじゅわっと口の中にあふれ出す。厚さ4センチほどあるサンドイッチがしっかり4個あるので朝からおなかいっぱいになる。これが無料で食べられるのだから驚きだ。ちなみに初回の人は驚くスタッフの「切る?切らない?」はパンの耳のことなので悪しからず。
⑤ ハセ珈琲店
シンプル&リッチな小倉トースト
ビルの一角にあるハセ珈琲店は和ごころをも感じさせる落ち着いた外観。中に入るとカウンター付近に古きよき喫茶店風情がぎゅっと凝縮。食器棚やテーブルにはグラス、カトラリー、ペン、つまようじ、水槽、時計、メトロノーム、まねき猫などあらゆるものが何一つ欠けてはならないものとして存在し、独特の世界観を作り出している。
ここではぜひ小倉トーストを食べてほしい。これでもかというくらい小倉がのっているから。トーストの端から端まで敷き詰められているので、上から見ると完全にあずき色一色。トーストの温かさと小倉の冷たさがくせになるコントラストだ。モーニングタイム(7:30~10:30)は好みのドリンクにプラス100円で小倉トーストとヨーグルト、ゆで玉子に。名古屋に来たからにはこのシンプルなおいしさをぜひ、味わってみて。
⑥ フラワー
種類豊富なあんかけパスタが自慢
名古屋駅西口そばのビジネスホテル「フラワー」1階。ホテルのフロントを通る必要はなく、喫茶店専用の入口から入店しよう。青いテントの下には堂々たる「名古屋風スパゲティ」の文字。そのとおりあんかけパスタが自慢の店で、定番のミラネーズ、カントリーのほかにふわとろ卵や魚のフライ、鶏の唐揚げを乗せたものなど種類豊富でサイズも選べる。
あんかけパスタにドリンクとサラダが付くランチは地元の味に舌鼓をうつサラリーマンで盛況だが、モーニングも隠れた人気。1,000円の定食はその日の気分で和食と洋食を選べる点がうれしい。もう少しリーズナブルに、という人はパンメニューがおすすめ。とくに小倉サンドは小倉あんがパンと同じくらいの厚みではさまれ、ボリューム満点だ。
[日曜・祝曜] 7:00-19:00
⑦ サウンド・マーシー
お茶も食事も楽しめる喫茶店
緑のテントにレンガの壁、木の扉が映画に出てきそうな風情の喫茶店。「ここを行き交う人たちの幸せの源になりたい」そんな想いを胸に30余年、移り変わる名古屋の街と人々を見守ってきた。
温かく家庭的な接客に地元ファンも多く、日替わりの手作りランチを手ぶらで食べにくる常連さんも。カレー、ビーフシチュー、ハンバーグから、鉄板スパやみそかつ定食などの名古屋めしまでバラエティ豊かにラインナップするので、ノスタルジックな喫茶店ワールドを楽しみながらごはんもしっかり食べたい!という人におすすめ。
「しっかり」といえばデザート系でもそれが叶う。とくに小倉トーストはさくさくのパンにふんだんに塗られたバターとたっぷりの小倉が至福のマリアージュ。ボリューミーな見た目にしり込みするも、たいていの人があっさり完食。
⑧ 喫茶プチ
380円でモーニングが食べられる店
シティホテルの併設ということもあり、早朝6時半から営業。ホテル利用の観光客やビジネスマンはもちろん、地元民も多く訪れ、店内9時には雑然とした雰囲気。そんな中でもどこかホッとした気分に浸れるのは、昭和の香りただよう懐かしいたたずまいが理由かもしれない。
新しい一日の手始めとしてふるまわれるこの店のモーニングは2種類。
・モーニングサービス(380円)…トースト、ゆで卵、ドリンク
・ハムエッグモーニング(550円)…トースト、ハムエッグ、サラダ、ドリンク
厚めのトーストはもっちりした食感でバターがほのかに香り、この値段でもちょっと贅沢な気分になれる。フリーWifi完備なので仕事や観光の拠点としてもぜひ利用してみて。
[土曜・日曜・祝日] 6:30-10:30
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