伝統と新しい風
世界三大料理に数えられる中華。その品々は4000年の歴史に裏打ちされている。
その歴史に形作られた技巧が、新開発の盛りにある武蔵小杉に息づく。
この記事では、武蔵小杉駅、新丸子駅近くの中華料理のお店を紹介する。リーズナブルな町中華から本場仕込みの本格派、独自スタイルのヌーベルシノワまで幅広く、10店をピックアップ。
①麺飯食堂 龍
重慶仕込みの心意気
新丸子駅から171メートル、川崎市立上丸子小学校近くの中華食堂。本場の中国・重慶で修業した店主が珠玉の中華を振る舞う。
「この中華はニセモノだよ。本場はもっとスパイシー」。中国人にそう称されがちな日本の中華。「龍」は激辛メニューが豊富、そしてどれも本格的だ。また、手軽に中華料理を食べながらお酒を飲んだり、近隣のサラリーマンや学生にもよく利用されている
大海老のチリソース掛け。その名の通りエビが大振りでプリプリ。チリソースもパンチが強すぎず、エビと絡んでバランスの良い仕上がり。
挽肉と玉子のピリ辛にんにくラーメン。坦々麺をイメージしてもらうと良いか。肉は粗挽きで、肉の味がよく感じられる。ニンニクはスライスされたものが入っており、香りが高い。ニンニクの芽が入っていて、シャキシャキとした食感も楽しめる。麺は細麺の中華麺で、ツルツル、モチモチで固め。
3時間飲み放題つき4500円の宴会コースもある。
[金曜・土曜]11:30-14:30、17:00〜1:00
②栄華飯店
餃子とコスパ定食
武蔵小杉から240メートル、「マルエスビル」にある中華飯店。
ランチ激戦区にあって、そのクオリティとコストパフォーマンスは磨きがかかっている。
豚肉といろいろ野菜炒め定食、700円。たっぷりの肉野菜炒めに、サラダ、具だくさんのスープ、杏仁豆腐、ゆで卵四つ切。さらにご飯はお替り自由ときた。サービス満点だ。
あらゆるメニューの中でも餃子の人気が高い。皮が厚くもちもち、噛むと肉汁がジュワーと溢れ出す。小籠包のようにジューシーなのでレンゲを使いながら汁も味わって。
③WANG’S GARDEN 武蔵小杉店
カフェのような空間で、本格中華料理を
武蔵小杉駅 新南口から徒歩2分。インテリアにもこだわったおしゃれな店内は女子会やデートにもオススメだ。ラグジュアリーな個室もあり、宴会や会食にも利用できる。
石焼沸騰麻婆豆腐はクセになる辛さの中に、コクのある旨みも引き立つおすすめのメニューだ。石焼き釜でグツグツ沸騰して提供される麻婆豆腐は見た目も香りもインパクトあり。山椒も効いていて、旨辛な味わいだ。
ランチの石焼沸騰麻婆豆腐セットは1,000円でご飯、スープ、サラダ、ザーサイつきとお得。ご飯おかわりは無料。
ちょっとセレブな空間が楽しい「WANG’S GARDEN」だが、コースは最安値2500円からとリーズナブルだ。「朱雀-SUZAKU-コース」は2500円で棒棒鶏、叉焼、麻婆豆腐など9品が楽しめる。
金曜17:00-23:30(L.O. 23:00)
日曜・祝休日17:00-21:30(L.O. 21:00)
ランチ11:30-15:00(L.O. 14:30)
④大三元
大衆食堂の首席
6世紀の隋から1300年以上、中国の官僚は「科挙」と呼ばれる超難関の試験によって選抜された。その科挙において郷試、会試、殿試という3つの試験すべてを首席で合格することを「大三元」という。郷試の首席を解元、会試の首席を会元、殿試の首席を状元と称したことに由来する。
武蔵小杉駅からおよそ徒歩30秒という立地にある老舗の大衆中華料理屋、「大三元」。地域に根ざしたサービスで長年人気を博している。
昔ながらの中華屋、といったアットホームな雰囲気。
醤油ラーメン。トッピングはメンマ、もやし、ワカメ、ネギそしてチャーシューとオーソドックス。スープは醤油ラーメンらしからぬ透明さ。鶏ガラベースのさっぱりした味だ。麺は細麺の縮れ麺。
駅前でがっつり、町中華!
⑤天下一
ボリューム満点鶏の照り焼き
武蔵小杉から550メートル。法政大学第二中学・高校のほど近くにある。
ロマンをつかみとれ。天下一!
昔懐かしい、それでいて清潔感あるあたたかみある内装。朝から働いて疲れたその体に、うまい中華でスタミナを注入しよう。
「天下一」。その最大の特徴はボリューム満点の定食ランチ。思えば天下一武道会、試合前の悟空はとにかく飯を食らっていた。
鶏の照焼き定食、850円。皮がパリパリの鶏肉が大ボリュームで盛られている。ランチでもガツガツ食べられるあっさり、絶妙な味付けが美味。
焼肉チャーハン、五目焼きそば、餃子。がっつり系グルメがなんでもうまい。
腹が減っては戦はできぬ
17:00-22:00
⑥ウチダ テイ
隠れ家ヌーベルシノワ
武蔵小杉駅北口から徒歩5分、新丸子駅から200メートル。ウッディでおしゃれな入り口扉が出迎える「ウチダ テイ」。
テイストは中華料理屋というよりはヌーベルシノワ。”nouvelle chinois”(仏)は「新しい中華料理」を指す造語で、西洋の食材を中華の技法で調理したり、フレンチのように洋風の食器で盛り付けたりするような中華料理を指す。
広島産牡蠣の四川風。大ぶりな牡蠣を高温調理で表面を固め、酸味の効いたソースを絡めている。スパイシーな香りのなかに深み。日本産のジューシーな牡蠣、中華の技法、フレンチのテイストが織り混ざる。
⑦料理工房 萬福飯店
リーズナブルに本格四川
日本医科大学武蔵小杉病院のそば。一見、なんの変哲もない町中華だが、こちらの四川麻婆豆腐は雑誌等でも紹介されている。本場の味を手軽に楽しめる名店だ。
こちらのお店には「四川」と「普通」の二種類の麻婆がある。餡のとろみが強く、豆腐は木綿。塩気の強い味付けだから、ご飯がすすむ。唐辛子の辛さだけでなく、花椒の痺れる辛さも。甜麺醤のマイルドさもあり、独特の味。
そのほか四川汁なし坦々麺など、本格四川流のスパイシーな料理を味わえるのが魅力。
富山ブラックならぬ川崎ブラックラーメンも提供。油っぽさもなくスッキリとした飲み口。中細、ストレート麺。新名物となりつつあるブラックも楽しめる。
⑧粥菜坊
ヘルシー広州料理
サライ通り商店街に店を構える「粥菜坊」。中華風のおかゆをはじめ、調味料や油を控えたヘルシーな広州の味を楽しめる。
「腸粉(ちょうふん)」は店の名物。米粉からつくるぷるぷる食感の皮が魅力の食品で、香港や広州ではポピュラーだ。粥菜坊では豚肉が包まれた「豚肉腸粉」をいただける。甘いタレが絶品、さらに自家製の辣椒醤を足して味変も楽しめる。
日本のお粥と広東粥はどう違うのか。5時間以上、生米から煮込んだトロッとした食感。だしの味や香りも独特。食材の栄養価も高い。おすすめは「朝鮮人参粥」。朝鮮人参には漢方のイメージがあるかもしれないが、このお粥を1度食べたら人参のおいしさに気づくかも?
希少な中国茶も多く取り揃えているので、おいしい料理と一緒に、おいしいお茶をどうぞ。
[土・日・祝]11:30-15:00、17:00-23:00
⑨本格水餃子専門 瓦奉店
本場は焼きません
最後にご紹介するのは食べログ高評価の水餃子専門店。新丸子駅から160メートル。
餃子の歴史は古い。紀元前6世紀の中国春秋時代に山東省で誕生したとされている。日本で最初に餃子を食べたとされる徳川光圀の江戸時代以来、国内では独特の進化を遂げており、薄い皮をパリッと焼いた日本式はもはや国民食といえるだろう。しかし焼いた餃子は本場では受け入れられていない。日本風餃子をひっさげて中国に進出したあの「餃子の王将」も、2014年に撤退。
じゃあ本場の餃子ってどんなの?その答えは瓦奉店で。
野菜と肉の香りを楽しむためニンニクは不使用。本場の皮は厚く、モチモチでしており、中の餡も美味。国産上豚肉をはじめとした国産素材のみで作られた上質な餃子をご堪能あれ。
17:00~21:00 (L.O.20:30)