ビジネスの街、日本橋でラーメンを食す
金融や経済の拠点として東京をリードする日本橋。一大オフィス街でもあり、ランチタイムにはお腹を空かせたビジネスマンたちがそぞろ歩く。働く人が多いぶん飲食店もたくさんあるが、忙しいビジネスマンにぴったりな一食といえば、やっぱりラーメン。日本橋界隈には早いのはもちろん、作り手の意気込みが詰まったレベルの高いラーメン店がいろいろある。この記事では、なかでも選りすぐり10の人気店をご紹介する。
店舗 (クリックで詳細) |
特徴や内容 |
① なな蓮 | 看板の「支那そば」は麺もスープも秀逸 |
② 東京スタイル鶏らーめん ど・みそ鶏 | あの名店が鶏白湯で勝負をかける |
③ 室壱羅麺(むろいちらーめん) | まったり魚介豚骨のWスープが美味 |
④ めん処 さんば | 昔ながらの中華そばにほっこり |
⑤ らーめん バリ男 日本橋店 | 濃厚クリーミーな豚骨ラーメン |
⑥ 元祖札幌や | スープも麺も、ザ・札幌ラーメン |
⑦ つじ田 日本橋八重洲店 | 濃厚豚骨魚介つけ麺のパイオニア |
⑧ 松田家 日本橋室町店 | 家系ならではの豚骨醤油が決め手 |
⑨ むぎとオリーブ 日本橋店 | 鶏・蛤・煮干しの黄金トリプルスープ |
⑩ 古寿茂(こすも) | 旨くて安い、サラリーマのお助け札 |
① なな蓮
看板の「支那そば」は麺もスープも秀逸
三越前駅から徒歩約2分。通りにある小さな入口では行列ができていることが少なくない。上品なほどにあっさりとしたこだわりの中華そばをいただけるお店。
メインの「支那そば」(880円税込)は、比内地鶏や数種の魚介からとったスープに、秋田の手作り醤油「百寿」が染みるような深いコクを与える。しかし後味はすっきりとして心地よい食後感が特徴だ。チャーシューのとろけるおいしさに思わず悶絶。
毎日店内で製麺する自家製の中細麺は、厳選した4種類の国産小麦をブレンド。つるつるとしたのど越しと程よいコシを楽しみながら噛みしめると、小麦のふくよかな風味が鼻を抜ける。
つけ麺はどっしりと重量感のある太麺を使用。「濃い出汁つけ麺」(990円税込)は、京都の「千鳥酢」と使ったさわやかな酸味が独特の味わいを生み出している。
より満足感を得たいなら、味玉、支那竹、海苔の「特製トッピング」(250円税込)がおすすめ。炭火炙り叉焼はサーブ直前に炙っているので香ばしさが一段と引き立つ。「特製卵がけごはん」(130円税込)や「炊き込みごはん」(180円税込)も隠れた人気だ。
② 東京スタイル鶏らーめん ど・みそ鶏
あの名店が鶏白湯で勝負をかける
京橋に本店をかまえる「東京スタイルみそらーめん ど・みそ」が、鶏白湯のスープに特化して営むセカンドブランド。醤油・塩・味噌の3種類のスープはすべて鶏ベースで、丸みのあるコクとあっさりした後味が人気だ。
なかでも醤油と塩は高級食材のトリュフが香りづけに施され、鶏ならではの上品な味わいに拍車をかける。
「特製鶏味噌らーめん」(1200円)は黄色のたくあんや紫キャベツがのって見た目も鮮やかな一品。鶏・豚それぞれ2種類、計4種類のシャーシューはどれも丁寧な仕込みを感じる美味しさで食べ比べが楽しい。ニンニクや生姜がたっぷりで滋養にもよさそう。
夏限定の変化球「ポルチーニ香る冷やししおそば」。見た目と同じく透き通った味わいの上品な和出汁は秀逸だ。麺をすするとふんわりと香るポルチーニが味に奥行を加える。
名店ならではの余裕と遊び心、そして本気とプライドを感じる独創的なラーメンをせひ試してみて。
[土曜] 11:00-14:00
③ 室壱羅麺(むろいちらーめん)
まったり魚介豚骨のWスープが美味
三越前駅が最寄の「室壱羅麺」は、魚介豚骨のWスープが自慢。まったりとした口当たりを楽しみながら一口すすると、染みるような魚介の素朴な風味とともに、豚骨らしいパンチのある濃厚な旨味がじんわりと広がる。さらに特製の肉味噌を混ぜればスパイシーさが加わり、他にはない新しい味わいにきっと驚くはず。
安さにもびっくりの「もやし羅麺」(690円)は生姜と花椒が効いてポカポカと体の芯から温まる。もやしのしゃきしゃき感も心地よい。
ちなみに麵の太さは選べるが、店のおすすめは全粒粉の細麺。加水率低めのパツパツとした歯触りと小麦のふくよかな香りを楽しもう。
地下鉄「日本橋駅」から徒歩5分
JR「新日本橋駅」から徒歩5分
[土曜] 11:00-15:00
[祝祭日] 11:00-16:00/17:30-20:00
④ めん処 さんば
昔ながらの中華そばにほっこり
日本橋駅と茅場町駅の中間地点にある「めん処 さんば」は、思わずホッとするような昔ながらの中華そばを食べられるお店。
その名も「東京醤油ラーメン」(750円)で、トッピングも豚バラ、ナルト、海苔、メンマと王道の具材。鶏ガラベースの透き通ったスープは、コクがありつつあっさりとした味わいで何度食べても飽きない。黄色の低加水麺は細く、こちらもザ・中華そばといった様相。
もやしが山盛りの「とんこつ」(700円)もぶれない美味しさ。豚骨脂が浮かんだ白濁スープは見た目よりもさっぱりで食べやすい。醤油とは違うどっしりとした太麺の粗野な歯ごたえも醍醐味だ。
品切れの場合もあり必ず会えるとは限らない「油そば」(850円)。噛みごたえのある太麺とその下に潜む濃厚な辛味ダレ、さらに卵黄をごちゃまぜにして口福の三位一体を堪能しよう。
ランチタイムは麺大盛りとライスが無料になるので腹ペコ時はとことん満足できる。
⑤ らーめん バリ男 日本橋店
濃厚クリーミーな豚骨ラーメン
日本橋駅から徒歩3分。「呼び戻し」という製法で開店以来継ぎ足しにながら使うスープは、大量の豚骨を豪快に煮込んだもの。そこに醤油のまろやかかつさと背脂の甘さが混ざり、唯一無二の濃厚クリーミーな味わいに仕上げている。
オーソドックスな「らーめん」(790円税込)でも十分なボリューム。残すくらいなら「麺少なめ」を選択しよう。値段は変わらないが、味玉がつく。すすり甲斐のある武骨な太麺や、継ぎ足しの特製ダレに漬け込んだ自家製チャーシューも醍醐味。
脂増しは無料。軽い背徳感にさいなまれながら味わうとろけるような甘みは何ににも代えがたい美味。ニンニクものせ放題だからこうなったら徹底的にいこう。
真っ赤な看板は店の意気込みを表すかのよう。「本気で作ったらーめんを食べてほしい」その熱い気持ちがひしひしと伝わる怒涛の一杯を心して堪能すべし。
[土曜・日曜・祝日] 11:00-15:00/17:00-21:00
⑥ 元祖札幌や
スープも麺も、ザ・札幌ラーメン
日本橋駅から歩いてすぐの「元祖札幌や」は、味噌ラーメンが自慢のお店。湯気の立ち昇る白濁スープは、白みそのマイルドで素朴な味わいが特徴。身体の芯まであたたまるホクホクとした美味しさは、しんしんと雪の降る札幌の街が頭の中に思い浮かぶよう。
麵は札幌ラーメンならではのプリプリとした卵麺。スープとともに豪快にすすると滑らかな口触りがなんともたのもしい。一味唐辛子やいりごまをたっぷりとかけていただくのもおすすめだ。
ぱらりと香ばしく炒められた炒飯もファンが多い。昔ながらの町中華を思わせるどこか懐かしい味がする。半炒飯と半味噌ラーメンの「半々セット」(1,100円)は不動の人気。
夏はきりりと辛い「冷やしラーメン」がいちおし。野菜のしゃきしゃき感にも気持ちがシャンと引き締まる。大盛りパクチーのせの変化球で進化する「元祖札幌や」をご堪能あれ。
※土曜は昼営業のみ
⑦ つじ田 日本橋八重洲店
濃厚豚骨魚介つけ麺のパイオニア
濃厚豚骨魚介つけ麺の先駆者といえば、ここ「つじ田」が有名だ。その命であるスープは、厳選した豚骨や比奈地鶏、日高昆布に魚介など、十数種の素材をブレンド。麺は三河屋製麺と共同開発したこだわりの中太麺で、計算され尽くしたスープとの相性は寸分の狂いもない。
一番人気は「特製濃厚つけ麺」(1100円)。とろりと濁ったスープは、野趣あふれる動物系の味わいとしみじみと奥深い魚介出汁の風味がみごとにマッチ。こってりしつつも決してくどくはなく食べやすい。箸でスープの中を探るとメンマやチャーシュー、味玉などが次々とあわられる。
全体の3分の1ほど食べすすんだら、すだちと黒七味で味変させるのが流儀。京都の老舗から仕入れる香り高い黒七味が、ワンランク上のつけ麺グルメに昇華させる。
「つじ田」はらーめんもぬかりなく美味しい。つるつるもちもちの麺は熱々のスープの中でもしっかりとした存在感を放つ。
2005年に御茶ノ水で最初の店舗を開いて以来、東京はもちろん関東圏や大阪、福岡などにのれんを広げ、2011年には記念すべき海外一号店がロサンゼルスで開店。伝統の味の堅守と新しい時代への飛躍を両立する「つじ田」から、ますます目が離せない。
[土曜・日曜・祝日] 11:00-21:00
⑧ 松田家 日本橋室町店
家系ならではの豚骨醤油が決め手
三越前駅から歩いてすぐ、徒歩按針通り沿いにある「松田屋」は、このエリアでは少ない横浜家系ラーメンのお店。 豚骨醤油ベースの濃厚なスープはやみつきになる人が続出だ。
看板メニューの1つ「特松田家豚骨醤油」(980円)はチャーシュー2枚追加に味玉も入ってお得感あり。濃厚でもしつこさとは無縁なので女性でも難なく完食できる。
こちらも人気の「味玉味噌ラーメン」(850円)。味噌のまろやかさが加わりコシの強い中太麺との相性も抜群。味玉の絶妙は半熟加減もよい。
見た目も味もサイドの域を越えている「チャーマヨ丼」。ストレート直球の美味しさで無条件に食欲をそそる。
スープや麺のリニューアルや新商品の開発などつねに向上心にあふれる「松田屋」は、家系ファンでなくても一食の価値ありだ。
地下鉄「日本橋駅」から徒歩4分
⑨ むぎとオリーブ 日本橋店
鶏・蛤・煮干しの黄金トリプルスープ
先駆けである銀座店はミシュランビブグルマンや食べログ百名店に選ばれており、国内外のお客を集める。コレド室町にあるここ日本橋店も昼時は行列覚悟の人気ぶりだ。
化学調味料を使わず、自然の食材のおいしさを最大限にいかしたスープが自慢。鳥取大山鶏、三重県桑名産の蛤(はまぐり)、群馬や香川の歴史ある醸造から仕入れる醤油など、産地にとことんこだわる。麺は京都の老舗ラーメン店「麺屋 棣鄂」と共同開発したここでしか味わえない逸品だ。
看板メニューの「特製SOBA」は鶏、蛤、これに煮干しをブレンドした3種類から選べる(1250円または1300円)。
蛤はプリプリとした食感が口の中で楽しい。艶やかな鶏スープは旨みが凝縮したふくよかな味わい。これに蛤と煮干しが合わさったトリプルスープは王様級だ。
「濃厚日本一たまごのまぜSOBA」(1100円)、低温調理した薔薇色の大判チャーシューと濃厚たまごのマリアージュが至福。酢・甘口醤油・粉チーズのトッピングでめくるめく味変も楽しんで。
食材本来の美味しさを最大限に引き出した特製SOBAは、自然に近い味がする。体に優しいものを食べたいヘルシー志向の人にもおすすめだ。
⑩ 古寿茂(こすも)
旨くて安い、サラリーマのお助け札
養珠院通りにある「古寿茂」は、らーめんや餃子、定食をリーズナブルに食べられる近隣会社員の憩いのお店。安心感あふれるこじんまりした趣きだが、じつは京橋、兜町、海老名などに姉妹店があり、新橋ビルにあるカレーの名店「カルカル」も系列店。
担々麺、味噌ラーメン、もやしそばなど種類がいろいろのラーメンのうちどれか一品が「日替わりラーメン」としてお得に。また、麺類とごはんもののとセットも800円~900円台と良心的だ。
野菜たっぷりなのがうれしい「タンメン」は、見た目以上に味が濃い。塩からいのではなく野菜の甘さや鶏ガラの旨味がしっかり溶け出しているという意味。思わず最後まで飲み干してしまいたくなる。
見た目も味もクラシカルな「味噌ラーメン」。濃すぎず薄すぎず、ちょうどよいあんばいのスープはまろやかな味噌の風味がふんわりと鼻に抜ける。麺は玉子感の強い中細ちぢれ麺でスープによく絡み、すすり甲斐がある。
うまい・早い・安いの三拍子をそろえる「古寿茂」は、サラリーマンのお助け札のようなお店だ。
日本橋で珠玉のソウルフードを満喫
日本橋エリアでおすすめのラーメン店10選をお届けした。昔からさまざまな人やモノであふれる日本橋の街。飲食店も目移りするほどあるが、本当に美味しいお店は、手堅く人気を集めている。ビジネスマンの駆け込み寺であるラーメン店も然り。自然と再訪したくなるお店は、今日もお客さんでいっぱいだ。芳しい湯気が立ち昇る珠玉のソウルフードを豪快にかっこんで、お腹も心もあつあつに満たそう。