関東有数のうなぎどころ
うなぎの名前の由来をご存知だろうか。うなぎの胸のところが黄色いっぽいから、「胸黄」が「うなぎ」に転化したという説が有力だ。
では、「蒲焼き」は? もともと、うなぎを縦に串刺しにして丸焼きにしていた形が蒲の穂に似てたから、だそう。
言わずと知れた関東屈指のうな重激戦区、ここ川越から、市内の名店を厳選してご紹介。
①川越 いちのや
1832年創業の老舗
創業200年に迫る超老舗、「川越 いちのや」からご紹介。店は西武新宿線本川越駅から歩いて15分ほどの場所に佇む。ホテルのフロントを思わせる、高級感あふれる入り口が客を出迎える。
江戸時代から変わらぬ味、鰻重。鰻を丁寧に調理し関東風に蒸して炭火で焼き上げる。うなぎは熱々なのに身はふわふわで噛まずに舌でほぐれるほどだ。ほどよい硬さのご飯にうなぎのタレがまた合う。炭火がふわりと香る。
特製鰻の「弐段」には驚き。そう、ごはんとごはんの間にも鰻が!まさに鰻のミルフィーユだ。
新商品のひつまぶしも人気。
平日11:00-21:00
②小川菊
うなる「う巻」
「小川菊(おがぎく)」は本川越駅から徒歩10分余り、仲町3丁目にある老舗のうなぎ屋だ。うなぎ専門店として1807年に川越に創業、以来200年以上ものあいだ秘伝のタレを受け継ぐ名店だ。
重箱のご飯が隠れるほど贅沢に鰻が盛り付けられている。関東風の蒸した鰻ながら、噛むほどに感じられる食べ応えもある。タレは濃厚すぎず、鰻自身の旨味を味わうのにバランスがいい。老舗の継ぎ足しのタレだが、濃さより品の良さの方が際立つ印象だ。
う巻もこちらの名物。パリッとしたうなぎを柔らか卵が包んで食感、味ともに柔らかな感じ。
7代続いた名店の味をとくとご堪能あれ。
川越駅から徒歩20分
③たち花
ファミリーもごゆっくり
川越市福田にある和食のお店、「たち花」。旬の素材を、手を尽くしてしつらえた和食の伝統、
割烹料理を提供して三十余年の名店だ。
宴会場や座敷の個室も多数あり、子供連れや大人数で割烹の心意気を味わえる。
おいしいうな重もさることながら、ファミリーレストランのような品数、幅広い年齢層に好まれる多彩さが人気。
10名以上の場合、送迎バスが使える場合も。
ディナー17:00-21:00
④うなぎ茶屋ひろ
古民家の趣
大きな屋敷のような店構え。古民家を作り替えたのだろうか。うなぎ茶屋ひろは、川越の町にふさわしい情緒を感じられるお店だ。
うなぎはふわっとやわらか。タレも甘さの加減がちょうどよい。蒸して焼くことによってふんわりとした食感になっていることは例にもれず。
天ぷら、刺身定食、焼きさば、唐揚げランチなどの和食もハイレベルなので、同行者が鰻好きでなくても問題なし。
⑤いも膳
芋を活かした懐石
さつまいもの箸置きに、さつまいものお茶、さつまいもの甘煮…。名物芋推しのメニューが目白押しの懐石が楽しめる、「いも膳」。
いも点心2,500円。季節の食材を使いつつ、サツマイモを活かした色々な料理を少しずつ味わうことができる。
いも重は、重箱に入ったご飯の上にうなぎが。一見何の変哲もないうな重のようだが、うなぎの下には、賽の目に切ったサツマイモが混ぜてある。サツマイモはホクホクで、ご飯ともうなぎとも相性がいい。うな重にサツマイモの甘味がアクセントになっていて美味。
⑥東屋
うなぎにどじょうになまずも
川越随一の観光名所、喜多院近くにある明治元年創業の老舗「東屋(あずまや)」。どじょうやなまず料理も提供する。
うなぎ。余分な脂が落とされた身は柔らかく、それでいて適度なふっくら感。皮はトロッとしており、適度に脂ものっていて美味。
タレは甘みを抑えたやや辛口タイプ。いい塩梅で風味も良く、表面のタレを焦がした部分が炭の香りと相まって香る。ごはんは気持ち硬めな炊き加減。タレがちょうどいい感じでまぶされている。
お新香にも名店ならではのこだわりが感じられる。
⑦ぽんぽこ亭
タレに差が出る
川越駅からは少し離れた住宅街にある鰻の店。観光地の有名店とは違い、こちらは地元の常連客が多い。大きな狸がお出迎え。
落ち着いた雰囲気の店内はカウンターと座敷があり、カウンターだと調理風景を間近で見られる。オープンキッチンでサービス満点だ。こちらではすでに白入れ済みのうなぎを
随時蒸して焼いていく。蒸しおきではないのでやや時間がかかる。
身はしっかり熱々でふんわりと柔らかく、脂がのっていて旨味と風味をしっかり感じる。しっかり焼かれていてタレの焦げが食感にも香りにもアクセントを添える。皮は厚め。タレは甘めだがくどさはなく。次から次へ頬張ってしまう。コクがありながらうなぎの味を消すことなく、タレの味と脂の旨さベストマッチ。
まとめ
小江戸・川越でいただける絶品鰻料理のお店を紹介した。日本の伝統が息づくグルメは職人のすぐれた技と熱いこだわりが光る。口にれば思わずため息があふれるような珠玉の味を、川越のつややかな風情の中で、じっくりと堪能してほしい。