とんかつ発祥の地
宮内庁大膳寮で西洋料理を担当していた島田信二郎氏が、ウィーン料理のWiener Schnitzelを参考に豚肉にパン粉をつけて揚げるカツレツを初めて考案した「ぽん多」。そこから様々な店が後を追い、今や国民食となっている「とんかつ」。
日本一の激戦区から、食べログ評価3.5以上の名店だけをピックアップしてご紹介。上野にお立ちよりの際はご参照を。
①とん八亭
ビブグルマン掲載の絶品トンカツ
上野松坂屋前のたぬき小路にある「とん八亭」。リーズナブルな絶品グルメを掲載するミシュランガイド東京ビブグルマンの常連だ。1947年創業の老舗で、現在の店主は三代目の細川秀巳氏。
店内は豊かな油の香りで包まれている。ロースカツ定食は1900円。提供までの手際も見事で、待ち時間も楽しめる。若干ピンクがかったきめのある肉質。まずは岩塩で。強い旨みがジュワッと広がる。ラードでじっくり低温で時間をかけて揚げるため、衣は薄めで、ほんのり甘くサクサク。ジューシーな身と薄めでサクッとした衣のバランスも良い。ただし肉はしっかり脂が乗っていて食べ応えバッチリだ。
ご飯は柔らかめに炊かれていて、キャベツはふんわり感のある口当たりが特徴。ご飯とキャベツは一回までおかわりできる。
②ぽん多本家
トンカツ発祥の店
こちら明治38年創業の「ぽん多本家」も「ミシュランガイド東京2020」でビブグルマンを獲得している老舗の洋食屋だ。創業者は宮内庁大膳寮で西洋料理を担当していた島田信二郎氏。ウィーン料理のWiener Schnitzelを参考に豚肉にパン粉をつけて揚げるカツレツを初めて考案したことから、上野は「とんかつ発祥の地」と言われる。
目の前で揚げられる「カツレツ」は、スジ切りや脂身を取り除く下処理が丁寧にされており、
肉の柔らかさのみが残っている。
一口食べるとサクッと歯切れの良い衣と甘い肉汁が口のなかに広がる贅沢な一品だ。これも丁寧な下処理があってこその品質。衣も限りなく薄い。豊潤でジューシーなカツは脂身がなくしつこすぎず、柔らかい。
トンカツ愛好家にはぜひこちら、伝統の味を。
[日曜・祝日]11:00-14:00、16:00-20:00
③井泉 本店
お箸で切れる!やわらかトンカツ
昭和5年に「お箸できれる やわらかい とんかつ」を考案して創業。 昭和5年の創業当時は、黒塀に柳がなびく「粋」な横丁であったが、時代とともに周囲は変わり、 「井泉」だけが当時のまま残った。当時、下谷芸者衆が踊った二階のお座敷もそのまま残っている。カウンター席、イス席の他、大部屋、小部屋とお座敷もあり、昭和の時を過ごせる。
「井泉」は昭和5年、上野の地に根をおろし初代石坂一雄の画号より創業した。戦前は柔らかい豚肉が無かったので、万人が食べやすいとんかつを提供する為仕込みの方法に研究を重ねた末、「お箸できれるやわらかいとんかつ」が誕生した。
こちらはかつサンド発祥の店でもある。初代女将の石坂登喜子は明治生まれながら、朝食はトーストに紅茶という生活を送っていたという。身近にパンがあったので、初代の揚げた「ひと口とんかつ」をみて、これをいつも自分が食べている食パンに挟んだらどうかと「ヒョイ」と思いつき、日本初のかつサンドが生まれた。
上品なサイズにカットされていて非常に食べやすい。奥深いカツの旨味は損なっておらず、ソースを吸ってしっとりとした衣は食パンとよく馴染む。時間が経ってもおいしいのが本物。
日・祝祭日11:30-20:30
④元祖やきかつ 桃タロー
元祖にして集大成
「焼きかつ」とは何か。揚げたかつを焼くことによって肉汁を閉じ込める、ユニークな逸品。あつあつの鉄板に焦げ目のついた焼きかつは一度食べたらやみつきだ。上野精養軒で修行した先代が精養軒のミラノカツレツを基に考案した調理法だそうで、以来根強いファンを持つ料理である。焼きかつの肉は、脂身がほとんど感じられないアッサリ系。衣は油切れがよく、サックリしている。ここに香味野菜たっぷり、自然な甘さの特製ソース。この三位一体攻撃のお陰で「揚げもの」らしからぬ軽めの後味とボリューム感を両立。
オムライスも美味。豚肉と玉葱の甘さをケチャップライスに凝縮。オーソドックスな見た目を裏切り旨さ満載だ。わりと厚めな薄焼き卵が濃い味をしっかり包み込む。
[土曜・日曜]11:30-15:00、16:45-21:00
⑤とんかつ山家 御徒町店
安くてうまい百名店
とんかつ定食770円。地球最強のコスパに驚いてしまう。かなり大きなロースカツ、ライスにしじみ汁、漬物に加えカキフライの追加をしても千円ちょっと。「ありえない」と称されるほどの安さ!
そんななかでもおすすめは「上ロースかつ定食」。20mm弱の厚みがあるお肉はほんのりと薄ピンク色を残す絶妙な揚げ加減である。上質なお肉であろうことが窺える歯切れの良さは、上ロースを名乗るにふさわしい。
まずは何も付けずに。ザクッフワッ、柔らか〜。脂身は少なめだが、丁寧に仕込まれた肉質は赤身とは思えない柔らかさ。キメが細かく、スッと噛み切れる口当たりだ。衣はカラッと揚がり油切れが完璧にされており、重たさは感じない。厚切りで食べ応えがあるので、満足感も申し分なし。
⑥すぎ田
ロースがうまい!3年連続百名店
「萌え断」という言葉を聞いたことがあるだろうか?これは写真投稿が盛んなSNSで流行っている言葉だ。意味は、「”断”面がカラフルで美しい食べ物に”萌え”ること。」
「萌え断」の代表格はフルーツサンドとされているが、とんかつの萌えも負けてはいまい。
「すぎ田」は舌が肥えた浅草の地元客を唸らせてきた下町の名店。確かな仕事で、今も昔も日常のご馳走としての”ちょっといい”とんかつを提供し続けている。
店内は白木造りのカウンターと奥にテーブル席がある高級感のある落ち着いた雰囲気だ。テレビやラジオもなく、カウンターの中の鍋でジューッととんかつを揚げる音が鳴り響く。揚がったとんかつを包丁で切るときの「ザクッザクッ」という音もたまらない。
ひれかつは丸々一本の棒ひれかつでボリュームたっぷり。しっかり火が通っていて、柔らかく肉の旨味もギュッと詰まっている。
豚肉は国産の非冷凍のフレッシュな肉にこだわる。余分な脂を取り除き、筋も丁寧に切って下ごしらえしている。注文を受けてから肉を切り出していて、揚げたときに肉と衣の間に隙間が出来ないようしっかり密着させるのがポイント。
油はオランダ産の最高級ラードを使用。厨房には銅鍋が二つ並んでいて、低温と高温を使い分け、厚切りの豚肉の中心部までしっかり火を入れつつ、衣はカラッと軽い食感に仕上げている。地元のベーカリーのパンを使用した衣は肉の味を邪魔しない、薄めでサクッとした歯触り。
ソースは自家製のオリジナルソースと、ウスターソースの元祖と言われるイギリス・ウスター産のリーペリンソースの2種類。クリームのように滑らかなからしは厨房でお手伝いの若者が10分近くただひたすらからしを箸でかき混ぜて仕込む。ラードの香りがほのかに鼻腔をかすめ、サクサク衣を纏った脂身と赤身のバランスの取れたとんかつ。旨味と肉の甘みが立った極上の味わい。
⑦とんかつ ゆたか
国産小麦100%のサクッと軽い衣
地元で愛される落ち着いたとんかつ店「ゆたか」。
豚本来の味を楽しめるように自家製造の国産小麦パン粉、高級綿実油を使用して揚げる。肉本来の甘みを感じられるこだわりの国産豚を使用。
口に含むとサクッとした軽やかな触感、そして甘みのある肉のうまみが広がる。揚げ物なのに胃もたれしないのは油と衣の賜物か。塩やウスターソースでさっぱりと食べられるとんかつ。
ゆたかはポークソテーも美味。見た目よりしつこくなく、醤油味の比較的あっさりしたもの。ロースかつと同じクオリティの肉を、よりさっぱり楽しめる。
このお店は昔ながらの雰囲気でほっとできる。それでいてきれいな内装が人気だ。
⑧蓬莱屋
小津安二郎が愛したヒレかつ
JR御徒町駅から徒歩1分。ヒレかつがうまい、上野の老舗とんかつ店。なんとかの名映画監督小津安二郎も足繁く通ったとか。
蓬莱屋がヒレかつの元祖とされる。初めてロースではなくヒレをとんかつに使ったのは大正初年のこと。ラードとヘッドを絶妙に使った揚げ油。まず、高温の油で表面をかため、その後、低温の油でじっくり火を通す。この2度揚げという調理法は蓬莱屋から生まれたという。
蓬莱屋のヒレカツは、褐色に近い濃い揚げ色を持つ薄い衣。まず、サクッとして、中から上質の肉汁がジュワーっと口の中に広がる。お好みでマスタードを。また、よく冷えたビールも一緒にどうぞ。
一口ヒレミンチかつはお土産限定で120gサイズのものが1つ650円で売っているが、「東京物語膳」ではミニサイズが店内でいただける。
ヒレ肉を叩いて少しの玉ねぎを入れただけで、一口齧ると中身はほぼパンパンのメンチかつだ。絶品。
[土曜・日曜・祝日]11:30-14:30、17:00-20:00