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トリキの錬金術師とは? 錬金術のやり方と、何がダメだったのか

  • 2020年10月14日
  • 2020年10月23日
  • ニュース
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トリキの錬金術とはいったい何だったのか

数日間ワイドショーを賑わせた「トリキの錬金術」という言葉をご存じだろうか。

農林水産省が旗手となり進めている「Go To Eatキャンペーン」の「オンライン飲食予約」によるポイント還元のシステムの裏を突いたポイント獲得手法としてSNSを中心に広がりを見せた「トリキの錬金術」。

しかしながら、10月7日に発表された政府の方針により飲食料金を上回るポイントの獲得はできない方向へ進んでいるため、同様の手口でポイントを増やすことはできなくなった。

後手であったとはいえ、鳥貴族をはじめとする飲食店や政府から徹底的に対策をされ始めた「トリキの錬金術」。
いったいどのような仕組みでポイントを稼ぎ、どうして対策されたのか。
飲食予約サイトでの予約をおすすめするグルメサイトの立場から解説する。

トリキの錬金術が広がってしまった理由は?

しかしながら、どうして「Go To Eatの錬金術」ではなく「トリキの錬金術」として広まってしまったのだろうか。

原因のひとつとして、全国に多くの店舗を持つ鳥貴族のシェアや知名度があったことは想像に難くない。
鳥貴族が、今では多く見かけるようになった「○○円均一」を謳う居酒屋チェーンのはしりであったことは間違いないだろう。

「トリキの錬金術」が広まったもう一つの原因は、そのわかりやすさ・やりやすさにあったと考える。
では、錬金術がどのような仕組みで行われたのか、ここで簡単に説明したい。

Go To Eatキャンペーンの抜け穴を使って、問題となった居酒屋チェーン「鳥貴族」で錬金術が可能だった理由は以下の三つである。

1. Go To Eatキャンペーンでのポイント還元の計算が「人数×定額」であること
2. 鳥貴族のオンライン予約で「席のみ予約」が可能だったこと
3. 鳥貴族が席代無し・298円(税抜)均一のお店であること

そして、298円であることがお得に感じるメニューの代表として「鳥釜めし」があったことも、錬金術のわかりやすさに加担している。

トリキの錬金術の手順は簡単で、

1. 登録済みの予約サイトから「席のみ予約」を行う
2. 予約時間になったら入店し、税抜298円の商品(鳥釜めし等)を一品注文する
3. 配膳後、食べて支払いを済ませ、退店する
4. 予約サイトのシステムによって決まった期限内に、人数×1000ポイントが追加で返ってくる

というもの。誰でも再現しやすいものになっている。

2020年10月現在の消費税は10%なので、327円の一品分を支払うことで1000円分のGo To Eatポイントと、各予約サイトのポイントが追加で獲得できる。合計で概ね700円分のプラスが出る、というわけである。

トリキの錬金術は、どうしていけなかったのか。

これだけお得であれば、だれもがやりたいであろう「トリキの錬金術」。
法律に反しているわけでも、お店のルールに反しているわけでもない。

ではなぜ、「トリキの錬金術」は対策され、できなくなってしまったのだろうか。
ただ「ずるいから」ではない、その理由を理解することで、Go To Eatのお得最大化につなげよう。

「トリキの錬金術」の悪いところ①:一組の会計で利益が出ない

「トリキの錬金術」について報道される際に最も触れられていた理由が、「利益が出ない」である。

鳥貴族が税抜298円均一で営業ができるのは、それでも十分な利益がとれるからであることは言うまでもない。
グループできた客が数千円のお会計をする。一組一組が安い会計に満足して帰るわけだが、広い店内と客の早い回転でこれをたくさん積み上げることで、利益を大きくしているのだ。

しかし、「トリキの錬金術」目的で来店した客は、この小さな売り上げに貢献しない。
なぜならば、鳥貴族に予約客が来店するごとに、飲食予約サイトに「送客手数料」を支払わなくてはいけないからである。

鳥貴族が店舗ごとに契約している各サイトの「送客手数料」の相場は、ディナー帯1人につき税抜200円。
客の支払う税抜き価格を店舗の売り上げとすると、「トリキの錬金術」での一人当たりの売り上げは297円。ここから税込にした送客手数料220円を引いただけで残りは79円である。

この79円の積み重ねで原価はもとより、店舗の賃料や光熱費、人件費等を賄うことは難しい。
多くの番組やニュースサイトで報道された通り、鳥貴族としては「困ってしまう」のである。

「トリキの錬金術」の悪いところ②:席が埋まる

鳥貴族のような○○円均一の居酒屋チェーンの経営が、小さな利益の積み重ねによって行われていることは先述した通りである。
トリキの錬金術」が問題となる理由として、この積み重ねを阻害することも1つ挙げられるだろう。

「トリキの錬金術」をしに来た客が用意に30分かかる鳥釜めしを注文すると、滞在時間は一時間ほど。
鳥貴族の席の予約が2時間制であることを考えると、錬金術師2組で大体1組分の席が埋まってしまうことになる。
本来1組分の売り上げが見込めた席が、利益の上がらない錬金術師になってしまうのである。

これがもしテイクアウトなども対象で、錬金術師1組が売り上げにならない、というだけなら鳥貴族も目をつぶれたかもしれない。
しかしながら、通常利用のお客さま分の売り上げ機会の損失、となるとより問題は深刻になってくるのである。

飲食店を応援するための政策であるGo To Eatによって飲食店が苦しむ。
ただ「困ってしまう」というワードのみが目立っているが、「トリキの錬金術」がお店に与える悪影響は、政府が無視できないほどに大きくなってしまったのだ。

お店に負荷を与えず、Go To Eatを活用するには?

「トリキの錬金術」は、送客手数料が引かれることでお店の売り上げに悪影響を及ぼす、という事を説明した。
しかしながら、Go To Eatキャンペーンのために予約をすれば、錬金術目的でなくとも等しく送客手数料が発生することも事実である。

そうなると気になるのが、錬金術目的以外でのGo To Eatキャンペーン利用が、お店の負担になっていないかどうかである。

普段予約をせずに利用する客が、Go To Eatキャンペーンを利用するために予約サイトを利用すると、送客手数料分お店の利益が減る。
そのため、残念ながら「全く負担ではない」と経営していない立場から言い切ることはできないのが現状である。

しかしながら、冒頭に書いたように飲食料金を上回るポイントの獲得ができなくなったり、鳥貴族を見習って席のみ予約をGo To Eatキャンペーン対象外とし、コースの注文を前提とすることで一定の利益を確保するお店が増えているなど、お店の利益を守る働きも増えてきている。

政府も各飲食予約サイトを通じて対象店にGo To Eatキャンペーン対象の予約コースの見直しを勧めているなど、お店のキャンペーンへの理解も進んできているだろう。

そのため、お店は客のGo To Eat目的の予約での利用を想定している、と考えられる。
「トリキの錬金術」が話題になって以降、Go To Eatキャンペーンは飲食店のためになるよう最適化されつつあるのだ。

まとめ -Go To Eatは胸を張ってお勧めできるキャンペーンに-

「トリキの錬金術」がどの仕組みを利用してどのように行われ、何がダメで対策されたのかについて、この記事で紹介した。

「トリキの錬金術」騒動で暗いイメージのついてしまったGo To Eatキャンペーンだが、騒動を経た結果、より飲食店のためになるキャンペーンに変化している。

ポイントで支払った分は国からの給付金が飲食予約サイトを通してお店に振り込まれるので、予約さえしていれば現金で支払うのと同じ利益がお店に入るのである。

いつもの夕食と同額の負担で+1000円のお店に行ける
と考えれば、これだけお得なキャンペーンも珍しい。
1グルメサイトとして、コロナ禍で冷え込んだ飲食業界のためにも、Go To Eatキャンペーンの積極的な利用をおすすめしたい。

以下、各社Go To Eatキャンペーン特設ページ