日本橋のカフェや喫茶店でゆるりと休息
東京証券取引所や日本銀行本店が立地する日本橋は、東京を代表する金融街だ。日本の経済を背負うサラリーマンたちが日々仕事に汗を流す。また、日本橋高島屋や日本橋三越といった老舗デパートにくわえ、近年では東京の先端カルチャーを集約したコレド室町・コレド日本橋が誕生。日本の今を感じられる新しいモノやコトを求めて、多くの買い物客やグルメファンがつめかける。この記事では、動きを止めない多忙な日本橋で、ひとときの休息を得られる魅力的なカフェ・喫茶店を紹介する。歴史ある街ならではの老舗が手掛ける店も登場するので、ぜひチェックしてほしい。
東京・日本橋のおすすめカフェ 10選(目次)
店舗 (クリックで詳細) |
特徴や内容 |
① cafe VAVA (カフェ ババ) | パンケーキやアフタヌーンティーが人気 |
② 文明堂カフェ | 古くて新しい和製スイーツを堪能 |
③ ミカド珈琲店 日本橋本店 | レトロな空間で至高のコーヒーとスイーツを |
④ BOUL’ANGE 日本橋店(ブール アンジュ) | 日常に小さな幸せをもたらすブーランジェリー |
⑤ ル・ショコラ・アラン・デュカス 東京工房 | パリのエスプリと日本の粋がショコラで融合 |
⑥ 資生堂パーラー 日本橋高島屋店 | 華やかなパフェに大人も子ども心ときめく |
⑦ ぺしゃわーる | ムード満点、隠れ家のような喫茶店 |
⑧ マルゼンカフェ 日本橋店 | 日本の一大書店と洋食の意外な関係 |
⑨ HARIO CAFE (ハリオカフェ) | 老舗耐熱ガラスメーカー発のおしゃれカフェ |
⑩ カフェ・ディ・フェスタ | 伝統の千疋屋クオリティをカジュアルに |
① cafe VAVA (カフェ ババ)
パンケーキやアフタヌーンティーが人気
日本橋髙島屋 S.C. 新館の3Fにある女性を中心に人気のカフェ。フレンチのシェフが作るグルテンフリーのパンケーキやフレッシュなパフェは看板アイテム。また、特製フレンチトーストがてっぱんのモーニングやハンバーガー、パスタなどのランチも充実しており、一日を通して利用できる。
気軽さも好評のアフタヌーンティー(税別3600円)は、季節ごとに内容が変わるので要チェック。2時間制などのお店が多いなか、時間無制限と良心的なこともうれしい。
国産の米粉を使ったパンケーキ(税別1600円~)は 、“ふわっとむにゅっと” な独特の食感とマスカルポーネクリームのまろやかさに悶絶。「苺とベリー」や「ショコラ&生クリーム」などが選べる。グルテンフリーなのでヘルシー志向の人にもおすすめだ。
見た目も華やかなアフタヌーンティも不動の人気。素材にこだわるスイーツはもちろん、「天使の海老ミニバーガー」など人気アイテムもセイボリーとして登場。フリードリンク15種を含め時間無制限で楽しめるので、思わずおしゃべりに花が咲く。
ティーマイスターが入れる「極上ロイヤルミルクティー」(税別1400円)はぜひ一度飲んでみて。飽くなき探求の末たどり着いたスリランカ産のアールグレイは、丁寧に手摘みされた特別栽培の茶葉だから香りがちがう。少しお値段が張るが、ポットでサーブされるのでじっくりと味わいたい。
② 文明堂カフェ
古くて新しい和製スイーツを堪能
三越前駅から江戸桜通りを歩いて1分。長崎のカステラを代表する老舗、文明堂が手掛けるカフェ。カステラをはじめバームクーヘンやどら焼き、プリンなどのお菓子が所せましと並ぶ販売コーナーの先に、スタイリッシュなカフェスペースがあらわれる。
ここでは、文明堂ならではのスイーツはもちろん、カレーやハヤシライスの洋食メニューや、お酒とともにいただく小皿メニューまで幅広くそろえ、夜利用も可能だ。
メディアでも紹介されるカステラで作ったフレンチトースト「フレンチ・カステラ」(税別980円)。表面はカリっと焼き上げられ、シナモンの香りがアクセント。甘すぎないので添えられたアイスクリームと一緒に食べるとちょうどいい。
「焼き立て三笠山パンケーキ」(税別1000円)は、文明堂の特製どら焼き「三笠山」の生地を使ったオリジナルのパンケーキ。シロップ、あんこ、クリーム、アイスとトッピングがたくさんあるのもうれしい。和菓子らしい素朴でやさしい甘さに、わけもなくホッとした気分になる。
温玉をのせた「文明堂ハヤシライス」(税別1100円)は染みるようにこっくり、まろやか。隠し味に使う赤味噌が、奥行のある味わいを作り出している。ホロホロと柔らかく煮込まれたお肉がたくさん入っているから食べごたえもある。
ディナーまで対応していて夜カフェもできることがポイント。和製スイーツの新旧がコラボしたここにしかない味をじっくりと満喫しよう。
JR「新日本橋駅」から徒歩5分
地下鉄「日本橋駅」から徒歩5分
[土曜] 11:30-20:00
[日曜・祝日] 11:30-18:00
③ ミカド珈琲店 日本橋本店
レトロな空間で至高のコーヒーとスイーツを
戦後まもない1948年創業の日本を代表するコーヒーショップはここ、日本橋が本店。昭和の香りが立ちこめる店内は、1階がセルフのスタンド席で、2階と3階はテーブルで注文を受けるスタイル。平日は7:00オープンなので仕事前にいつものコーヒーでいっぷくしたり、朝食をとるお客さんの姿も見られる。
とはいえ最近ではレトロ萌えも手伝って若者人気も上昇中。こんがり焼かれた懐かし風情のトーストや、先っぽの伸び加減がフォトジェニックなソフトクリームなどが写真に収められている。
創業より受け継がれるコーヒーの味のきめては独特の「酸味」。これがほかの苦味や甘さをより引き立ててくれるのだという。相性抜群の「旧軽モカロールケーキ」は、生地に軽井沢旧道店のハウスブレンド「旧軽通り」を練り込んである。まろやかで優しい味わいのクリームが黄金マッチ。
若者にも好評の「モカソフト」。すっきりとした甘さのソフトクリームを口の中で溶かすと、コーヒーのよい香りが鼻腔をくすぐる。添えられたプルーンも名脇役だ。
隠れファンの多いスコーンは、ホクホクとした素朴な食感が魅力。どこか懐かしい味わいで、ほっこりとした気分になれる。クリームとジャムをたっぷりのせて。
そのほか、モーニングではずせないホットケーキや、ジューシーなホットドッグ、ブランデーの香りがアクセントのコーヒーゼリーなども。タイムスリップしたような空間で、特別なひとときを満喫したい。
地下鉄「日本橋駅」から徒歩4分
[土曜] 8:00-18:00
[日曜・祝日] 10:00-18:00
④ BOUL’ANGE 日本橋店(ブール アンジュ)
日常に小さな幸せをもたらすブーランジェリー
新宿や渋谷に支店をもつ評判のブーランジェリー(パン屋)。“暮らしに寄り添う” をコンセプトに、数量限定の食パンや焼き時間ごとにトッピングが変わるタルティーヌなど、日々の生活をさりげなく豊かにするさまざまなパンを提供している。
日本橋エリアでは三越前駅からすぐのコレド室町3地下にあり、カフェスペースでイートインが可能。ブレンドコーヒーやメープルラテ、ロイヤルミルクティーなどのドリンクとともに焼き立てのパンを食べられる。
繊細な層がいくえにも重なるクロワッサンは看板アイテム。熱烈ファンは一度に10個買っていくこともあるとか。パリパリと耳に心地よい音までごちそうだ。
さくっともっちりのカレーパンはスパイシーなカレーの中に牛肉がゴロゴロと。まるまるとした見た目にも癒される。
クリスマス時期にはツリー型の特製モンブラン(ケーキでなくパン)がお目見え。中にはクリームがたっぷり入っている。期間限定のシュトーレンも芳醇な味わいで人気。
席数はたくさんあるので、人の多い日本橋にあってだいたい座れることもうれしい点。デザート系からおかず系までごにかくパンの種類が多いので、お気に入りのアイテムにきっと出会えるはず。
⑤ ル・ショコラ・アラン・デュカス 東京工房
パリのエスプリと日本の粋がショコラで融合
三越前駅から徒歩3分。フランスの有名シェフ、アラン・デュカスが手掛けるショコラティエで、工房はパリとここ、日本橋にある。高い基準で厳選したカカオ豆を使った作り立てのショコラやデザートをいただくことができるカフェだ。
ガラス張りの窓のむこうには工房があり、熟練のパティシエたちが珠玉のスイーツを次々と繰り出す様子を見られるのも醍醐味だ。
ショコラが主役のアフタヌーンティー「LE GOUTER(ル・グテ)」(税別4500円)は店の一番人気。タルトレット・ショコラ、シュー・プラリネなど10種類のスイーツを味わえる。別プレートで出てくる「モンブラン・ア・ノートル・ファソン」は濃厚クリーミーなガナッシュと甘酸っぱいカシスのコンフィが鮮やかにマッチ。メレンゲのサクサクとした食感もあとをひく。
ショコラの花びらをのせた「ムース・オ・ショコラ」(税別1400円)。淡雪のような口溶けと雑味のないカカオの美味しさをダイレクトに味わえる。
大きめのマカロンはシーズンごとに変わる3つのフレイバーのガナッシュがたっぷり。おみやげにも重宝し、3個入りと6個入りのボックスを選べる。
日本人の細やかな気配りや繊細な手仕事に魅了されたというアラン・デュカス。卓越した技術と豊かなアイデアから繰り出されるショコラスイーツを食べれば、日本古来の美徳を再確認できるかもしれない。
地下鉄「日本橋駅」D4出口から徒歩5分
⑥ 資生堂パーラー 日本橋高島屋店
華やかなパフェに大人も子ども心ときめく
日本橋駅に直結する日本橋高島屋8階にある「資生堂パーラー」。1902年に日本で初めてのソーダ水やアイスクリームを販売するソーダファウンテンとして開業し、1928年にはレストラン業態をスタート。今も受け継がれるオムライスやコロッケなどの洋食メニューを打ち出し、流行に敏感な都会人の話題をさらった。
また、資生堂パーラーといえば “ご褒美スイーツ” としても名高い豪華なパフェも看板だ。四季の恵みをふんだんに盛り合わせた目にも鮮やかなパフェは、1スプーンごとに心躍るようなトキメキを運んでくれる。
色彩豊かなパフェは、弾むようなフルーツのおいしさを存分に堪能できることが魅力。素材の品質にはとことんこだわっているから、その時期最高の贅沢を味わえる。
レトロな気分に浸れる「プリンアラモード」もおすすめの一品。卵の味がやさしいハードタイプのプリンは、ほろ苦のカラメルソースが香ばしいアクセントだ。男性ファンも少なくないとか。
もちろん、きちんと食事をしたい人も大歓迎。創業以来変わらないオムライスは、完ぺきという言葉が似合う美しいフォルム。ぽってりとした卵の食感とどこか懐かしい味わいのチキンライスにお腹も心も癒される。トマトソースの本格的な味も名店ならでは。
明治から続く老舗らしく、親子3代で通う常連客もいるという。時代の先端をゆくハイカラな雰囲気とゆずらない味で、名だたる文化人をもとりこにしてきたことにもうなずける。
⑦ ぺしゃわーる
ムード満点、隠れ家のような喫茶店
日本橋駅から徒歩4分。 コーヒー好きが通い詰める知る人ぞ知る日本橋を代表する喫茶店。シックを絵に描いたような飴色の店内は、隠れ家のように落ち着いた雰囲気。アンティークな調度品や年季の入ったカウンター、温かな光が漏れる卓上のランプなど、まるで小説や映画に出てくる喫茶店のようだ。
カウンターの前にはずらりとお酒の瓶が並ぶ。夜はバーに装いを変えてムーディーさに拍車がかかる。
一杯一杯丁寧にドリップして淹れられるコーヒーは、香り高く味はじっくりとコク深い。おすすめのブレンドを筆頭にありとあらゆるコーヒーを用意しているので、お気に入りの一杯とともにくつろごう。
ずっしりと重量感のあるベイクドチーズケーキはお店自慢の逸品。こってりとした口当たりだが、後味は思いのほかすっきりなのでコーヒーとともにパクパクと食べすすんでしまう。
チーズがとろけるあつあつのクロックムッシュ。香ばしい焼き目が食欲をそそる。添えられたポテサラもほっくりした玉子感でかくれた人気。
夏にはひんやりかき氷も。かき氷らしからぬマイペースな見た目にも萌える。いちごミルクや抹茶など、この夏はどんなフレイバーにしようかスタッフが趣向を凝らす。
忙しい毎日の中でふと立ち止まれるような癒しの空間。スタッフの気さくさにも元気をもらいながら、しばしの休息を得られそうだ。
⑧ マルゼンカフェ 日本橋店
日本の一大書店と洋食の意外な関係
丸善日本橋店で本を買ったら、そのまま3階のカフェへいこう。大きな窓がある店内は明るく開放的で居心地がよい。
ここでまず食べたいのが「早矢仕(ハヤシ)ライス」。じつは丸善の創業者「早矢仕有的(はやしゆうてき)」は、日本洋食界の代表選手、ハヤシライスの生みの親ともいわれている。早矢仕氏が外国人の友人をもたなすためにありあわせの食材でごった煮を作り、それにごはんを添えたことがはじまりという説があるのだ。
懐かしさと上品さが共存するハヤシソースは甘みと酸味のバランスが絶妙。うっとりするほどにまろやかな口当たりで一口目から頬が落ちそうだ。「ポーク早矢仕ライス」、「ビーフプレミアム早矢仕ライス」、「早矢仕オムライス」など種類はいろいろ。肉汁あふれるハンバーグをのせれば大人も子どももさらにテンションが上がる。
買い物帰りのお茶タイムにも気軽に利用できる。「ベリーベリーワッフル」は表面カリッと中身はモチッと。ソフトクリームをのせて食べると温冷のコントラストで一層美味。
ハヤシのほかにカレーもあり、相掛けにしたりチーズやハンバーグをトッピングしたり自分流に楽しめる。明治時代における日本きっての実業家が体験した文明開化の味をぜひためしてみて。
⑨ HARIO CAFE (ハリオカフェ)
老舗耐熱ガラスメーカー発のおしゃれカフェ
地下鉄「三越前駅」から徒歩4分。1921年創業の耐熱ガラスメーカーHARIO(ハリオ)直営のお店。建物1階が同じく直営のガラスアクセサリーの工房で、2階がカフェになっている。
さまざまなHARIO製品を使って淹れたコーヒーや、それと相性ぴったりのスイーツ、サンドイッチなどを洗練された店内でゆっくりと楽しめる。
店内ではHARIOのコーヒー器具はもちろん、急須や飯釜なども販売。見ているだけでもワクワクした気持ちになる。コーヒーの美味しい淹れ方も、スタッフに聞くと親切に教えてくれる。
コーヒーはドリップ式とサイフォン式を選べる。どちらにしてもさすがのこだわりでコーヒー通も認める深くてリッチな味わい。欠かせないお供のスイーツは、全国から選りすぐった名店のアイテムを取り寄せている。
小さなビーカーに入っているのは黒蜜。些細なところまでおしゃれで小粋。スイーツは時期によってラインナップが異なるので、気になる人はSNSなどをチェックしよう。
JR「新日本橋」駅から徒歩6分
地下鉄「日本橋」駅から徒歩9分
⑩ カフェ・ディ・フェスタ
伝統の千疋屋クオリティをカジュアルに
千疋屋総本店が1階でプロデュースするカジュアルなカフェ。2階はフルーツパーラーになっている。千疋屋といえば1834年のいわずと知れた老舗で、少し敷居の高さを気にするかもしれない。けれどこちらのカフェは気軽に利用しやすいことがポイントだ。清潔感あふれる明るい店内で、リーズナブルに千疋屋クオリティのスイーツや軽食を楽しめる。
サンデーにのる苺ひとつをとっても厳選されているからしっかり味が濃くてジューシー。爽やかな甘酸っぱさと濃厚なソフトクリームの掛け合いがこのうえない口福だ。
ランチタイムはカレーも人気。「マンゴーカレー」はマンゴーのフルーティーな甘さがスパイシーなルーを引き立てる。100%のみかんジュースは太陽のもとで育った甘みがぎっしり。
圧巻のボリュームの「フルーティーシナモントースト」。こんがりと焦げ目のついた表面からザクっとナイフを入れるとなかは夢心地のフワフワ感。甘いアイスクリームと爽やかなフルーツが絶妙に溶け合う。
天気のよい日は開放的なテラス的も気持ちがいい。果実感いっぱいのミルキーなシェイクはテイクアウトもできる。
歴史ある日本橋でゆっくりお茶タイムを
平日にはオフィスワーカーでにぎわう日本橋だが、休日は比較的のんびりした空気が流れている。デパートや商業ビルで買い物を終えたら、ふだんよりは静かな街中に出て、ゆっくりお茶タイムを楽しんではどうだろう(デパートや商業ビルの中にも素敵なカフェはあるけれど)。店をめざして歩いていれば、今は殺伐とした首都高速の下にたたずむ「日本橋」をはじめ、歴史的な建造物をいくつか確認できるはずだ。日本橋という街の歩みに思いをはせながら飲むコーヒーは、特別に深い味がするかもしれない。