港町の居酒屋で新鮮な海の幸を食す
2020年12月に新しい商業施設「ミナカ小田原」がオープン予定であるなど、小田原駅では東口を中心に再開発が進んでいる。しかし駅から少し歩くと昔ながらの小さな商店も健在で、城下町らしいにぎわいを感じられる。
飲食のお店はとくに多いが、なかでも居酒屋に出くわす頻度はけっこう高い。その種類は市内で展開するチェーンから魚屋直営店、趣きある個人経営のお店などさまざまだ。どの店も看板メニューを引っさげるが、やはり港町、刺身盛り合わせや海鮮丼が華やかに主役を張る。ほどんどの店が市場朝どれの魚を使っており、味と鮮度は折り紙つきだ。
ここでは、そんな高レベルの競演を繰り広げる小田原の居酒屋のなかで、とくにおすすめしたい12のお店をご紹介する。魚はもちろん、お酒に合う逸品料理がいろいろ登場するので、ちょい呑み気分で読んでみてほしい。
小田原でおすすめの居酒屋10選(目次)
店舗 (クリックで詳細) |
平均予算 | 特徴や内容 |
① サカナキュイジーヌ・リョウ | 昼1000円-2000円 夜5000円-7000円 | 使い勝手最高の料理×空間 |
② 和食創作 Enn | 昼1000円-2000円 夜4000円-5000円 | 独自メニューも楽しい全方位型居酒屋 |
③ 野菜巻き串 ぐるりくるり | 夜3000円-4000円 | マイベストまきまきを探せ! |
④ 海鮮居酒屋さんせん | 昼1000円-2000円 夜2000円-3000円 | 魚屋直営ならではの鮮度が自慢 |
⑤ 小田原おでん本店 | 昼1000円-2000円 夜3000円-4000円 | 地元の想いが凝縮したおでん種 |
⑥ 海鮮問屋ふじ丸 小田原駅前店 | 昼1000円-2000円 夜3000円-4000円 | コスパ最強の家族居酒屋 |
⑦ 居酒屋 金時(きんとき) | 昼1000円-2000円 夜4000円-5000円 | 昼から夜まで海鮮ざんまい |
⑧ 小田原バル | 昼1000円-1500円 夜3000円-4000円 | ちょい呑みにもぴったりの和食バル |
⑨ 炭火RoBATa酒場 OHASHI (オハシ) | 昼1000円-2000円 夜4000円-5000円 | お客さんファーストの味と値段 |
⑩ 榮ちゃん 1号店 | 夜2000円-3000円 | 帰りたくなる、心のふるさと |
⑪ 海鮮横丁 うおくに | 昼1000円-2000円 夜3000円-4000円 | 定食気分の気軽な居酒屋 |
⑫ ふわり 小田原 | 昼1000円-2000円 夜3000円-4000円 | 小田原でたゆたう非日常 |
① サカナキュイジーヌ・リョウ
使い勝手最高の料理×空間
小田原駅から徒歩3分という至便な立地に、ビルに3つのフロアを持つスケール大の創作居酒屋。2000年のオープン以来、レベルの高い料理と使い勝手の良さで地元や観光客のファンを順調に増やしている。
海鮮丼やにぎりを手軽に楽しめるランチが人気。一方で、種類豊富な地酒とともに板前の手仕事が光るこだわりの肴をあれこれとつまむ夜もまた格別だ。まずは鮮度抜群の刺身をじっくり味わったら、「あら煮大根」や「マグロぬた」で日本酒をすすめつつ「山麓豚の角煮」「大山鶏の唐揚げ」などのがっつりお肉系や揚げたての天ぷらで胃袋を満たす。〆には定番の海鮮丼はもちろん、そばやうどんなどオプションもあり。くわえて品書きにない季節の一皿も楽しみのひとつだ。
洗練された和モダンな店内はフロアごとに異なる雰囲気。どう使うか迷ったらぜひ経験豊富なスタッフに相談を。
※日曜・祝日は21:00まで
② 和食創作 Enn
独自メニューも楽しい全方位型居酒屋
小田原駅から徒歩3分。落ち着いた和空間でいただける看板メニューは早川漁港直送の新鮮な魚をさばいた刺身と鶏料理。宮崎鶏もも炭火焼をはじめ、ぼんじり炙り焼きや鶏皮揚げポン酢はお客さんの大半が注文する人気メニューだ。また岩手県から届く牡蠣も名物で、きゅっと冷えた冷酒で楽しむつるりとしたのど越しはこの上ない贅沢。
とにかくメニューがバラエティ豊富なので、家族、友人、女子会、ママ会、誰と訪れても思い切り楽しめることがEnnの魅力。「ネギトロtoアボカドミルフィーユ」「マグロとお餅のハイカラポンポン!」「砂肝の唐揚げ 黒酢ソース」などちょっと他で見ないオリジナルなメニューも自慢だ。
10種類以上のワインをはじめお酒の品ぞろえも豊富、デザートの写真映えまでぬかりないので、どんなお店か… と思い悩む前にまずは行ってみるべし!
③ 野菜巻き串 ぐるりくるり
マイベストまきまきを探せ!
小田原駅から徒歩5分。古民家風情の引き戸を開けるとスタッフの元気な掛け声が迎えてくれる。注文前から香ばしいにおいが食欲と好奇心をそそる野菜巻き串の専門居酒屋。他ではあまり見かけないものの、じつは石垣島に姉妹店あり。
旬の野菜を筆頭にあらゆる野菜をまきまきするが、甘みがくせになる「ニラチーズ」やみずみずしさ満載の「レタス巻き」、てっぱんの「ベーコントマト」などが人気。とはいえ常連はそれぞれのマイベスト串を持っており、好みの一串を見つけるべくいろいろトライしてみよう。
ちなみに串以外の単品アイテムも選択肢多彩。沖縄ざるもずく、霜降り馬刺しの桜ユッケ、福岡胡麻カンパチなどの酒の友をはじめ、刺身盛り合わせや小鯵の干物など小田原ならではの美味も堪能できる。地の味を求める観光の宵にはもってこいだ。
[土日祝] 14:00-23:00
④ 海鮮居酒屋さんせん
魚屋直営ならではの鮮度が自慢
小田原駅から徒歩1分とアクセス至便な「さんせん」は、相模湾を目の前に臨む小田原の魚屋「三鮮」直営の居酒屋。プロが毎朝目利きした鮮魚のみを使っているからその味はお墨つきだ。本マグロの時期限定のおいしさを堪能できる「本マグロ平盛り」や、さまざまな相模湾近海魚を贅沢に食べ比べできる「がっつり盛り」はマストオーダー。
またランチで人気の海鮮丼はもちろん夜にもお目見え。ウニ、いくら、マグロがつやめく「三色海鮮丼」やとろける味わいがたまらない「まぐろ&アボカド丼」はお腹と心を満たす〆にもぴったり。ほかにも金目鯛の煮付けや特製あら汁、かさごの唐揚げなど小田原ならではの味覚がせいぞろいするので、お腹と相談しつつ注文は計画的に。
掘りごたつの座敷は最大40人までの宴会に対応。落ち着いたテーブル席は少人数でのしっぽり飲みに最適だ。
[土曜] 11:30-16:00/17:00-22:00
[日曜・祝日] 11:30-19:00
⑤ 小田原おでん本店
地元の想いが凝縮したおでん種
「小田原おでん」は、老舗蒲鉾屋をはじめ、地元商店が作るさまざまな種を鍋に入れた小田原のご当地グルメのひとつ。この小田原おでんをおいしいお酒とともにじっくりと楽しめるのが「小田原おでん本店」だ。
昆布とかつおからとった関西風の出汁でことことと煮られた種は、うずらを焼き蒲鉾でつつんだ「うずら卵 浜のお月見」、鯵のほぐし身と野菜、豆腐が三位一体となる「小田原あじがんも」など、どれも山と海に恵まれた小田原を舌で感じられる逸品たち。余計な調味料を入れない素材本来の味は、心と体にじんわりと染みる。
また、おでんだけでなく牛スジの煮込み、あじの押し寿司、自家製しゅうまいなどの一品料理も個々にレベルが高い。ハイセンスで趣き深い和空間と温かく丁寧な接客。大切な人と上質な時間を過ごすのにぴったりのお店だ。
[土曜・日曜・祝日] 11:30-21:00
※ランチは平日のみ
⑥ 海鮮問屋ふじ丸 小田原駅前店
コスパ最強の家族居酒屋
小田原市下大井エリアに本店を置くローカルにも人気の海鮮居酒屋。小田原駅前店は駅から徒歩3分のおしゃれ横丁にある。小田原漁港や北海道根室漁港の一番競りで仕入れた新鮮な魚を、熟練の板前が精魂込めて調理する。
注目したいのは料理の味レベルに釣り合わない庶民価格。看板の「海鮮盛り」は、貝類1品、地魚姿盛り1品、箸休め2品を入れての刺身10点盛りでなんと999円。ほかにも日本酒が加速する「あら煮」や濃厚な旨味の「あつとろチーズつくね」、自然な甘さがやさしい味わいの「山百合ポークのハムカツ」などこだわりの居酒屋メニューは平均価格400円。もちろんランチで人気の海鮮丼や寿司各種も低価格で幅広くふるまい、大人だけでなく子どもも笑顔になれる和やかな “家族居酒屋” といった様相だ。
お財布を気に掛けることなくおいしい料理と厳選されたお酒を肩ひじ張らずに楽しめる、まさに呑兵衛の理想郷。
[土日祝] 11:30-23:00
⑦ 居酒屋 金時(きんとき)
昼から夜まで海鮮ざんまい
地元のサラリーマンや親子連れも通う路地裏の名店。地魚天丼や日替わり鮮魚を使った定食など、昼間から新鮮な魚料理を食べられるということでランチの人気も高い。
夜は全国の銘酒とともに板前自慢の料理をじっくりと味わえることが醍醐味だ。店いちおしの刺身盛り合わせは、真鶴港や早川港から仕入れたばかりのその日一番おいしい魚をいただける。宝石のようにきらめくぷりぷりの生しらすは、漁でとれた日のみお目にかかれるラッキーアイテム。
他にも1本150円(税抜き)のやきとり各種やボリューム満点のチキンカツにふんわり柔らかな明太だし巻き玉子、〆は海鮮たっぷりの皿うどんや海が香るアジつみれ入りラーメンが人気。さらなる新鮮料理を求める人は、店内の水槽で泳ぐ魚を板前にさばいてもらうことも可能。
※日曜は夜のみ営業
⑧ 小田原バル
ちょい呑みにもぴったりの和食バル
小田原近海の朝どれ鮮魚や旬の地元野菜を使ったこだわりの料理をバルスタイルで気軽に楽しめるお店。忙しい観光の合間や仕事帰りにふらっと立ち寄るのもよし、スタイリッシュな店内でゆっくりと語らいの時間を過ごすのもよし、使い方は自分次第。
「板前箱刺し盛り」や「蒸しアワビ」、「白レバー雲丹パテ」などのお店名物は、日本酒にもワインにもぴったり。あつあつがうれしい「小田原おでん7種盛り」や無農薬野菜にこだわる「和~ニャカウダ」、肉汁じゅわりの「足柄牛のカツレツ」をはじめ、和洋の垣根を超えたシェフ渾身の逸品が目白押し。〆は海鮮丼や「地魚の炙りごはん」で小田原の美味を再確認したい。
料理のレベルはもちろんお酒の種類は豊富、店内も清潔感がありお洒落なので女性うけもばっちりのお店。
[土日祝] 11:00-23:00
⑨ 炭火RoBATa酒場 OHASHI (オハシ)
お客さんファーストの味と値段
小田原に2店舗、新横浜に1店舗を展開するエネルギーあふれる旨いモノ酒場。「おいしいものを気兼ねなくお腹いっぱい食べてほしい!」その精神のもとに市場や契約農家から新鮮な魚や野菜・米を格安で仕入れる。とくにマグロへの思い入れは格別で、業者との直接取引により上級の天然本マグロの低価格化を実現している。
名物の「お刺身!!大漁盛!!」はお客さんファーストの精神を体現したメニュー。皿いっぱいの刺身のボリュームと1,980円の破格はおどろくばかり。「本マグロ寿司六貫盛り」はウニまでのせて1,280円、「天然本マグロ刺身」は700円のサービス価格で1テーブル1皿の限定品だ。
下町もんじゃサラダ、岡山のホルモン焼きうどん、大阪河内鴨モモ炭火焼きなど小田原以外のご当地グルメを楽しめるのも魅力。もっとOHASHIに近づきたい、そんなあなたは会員制度「おやじメンバー」に入会するべし。
※土日祝のランチは15:00まで
⑩ 榮ちゃん 1号店
帰りたくなる、心のふるさと
路地裏のたたずまいはいかにも昔ながらの居酒屋風情。知る人ぞ知るといった雰囲気も隠れファンを増やしていつしか人気店に。しかし榮ちゃん自身のスタンスは一向に変わることなくマイペースな姿勢がまたファンを魅了する。
こじんまりとした店内でしっぽりと味わえるのは刺身、天ぷら、やきとり、豆腐の生揚げ、唐揚げ、オムレツ、茄子味噌炒めなど。どれもSimple is Best、であるがしかし一つ一つが静かなる丁寧さにあふれ、揺らぎなくおいしい。11月頃にはじまる煮込みは榮ちゃんファンにとってもはや冬の風物詩。じんわりと味の染みた大根やこんにゃくが、からだの芯まで温めてくれる。
地元の人はもちろん、人づてに聞いて初来店した観光客も「ただいま」とまた帰ってきたくなる心のふるさとのようなお店だ。変化の速いのせわしない時代、昔から変わらない店のたたずまいや大将の料理、気さくな人柄が、安心をもたらしてくれるのかもしれない。
⑪ 海鮮横丁 うおくに
定食気分の気軽な居酒屋
小田原駅東口の地下街、ハルネ小田原にあるこちら。その利便性から買い物客やサラリーマン、観光客とさまざまな人が思い思いにくつろいでいる。経営するのは明治44年の老舗の魚屋「魚國商店」や直営の食事処「海鮮茶屋魚國」を展開する会社で、小田原の魚つうで知らない人はいない。
ネタのつやめく海鮮丼や盛りの良さにおどろく天丼をお値打ちで楽しめるランチが人気。夜はこれらのメニューに酒と肴を追加しつつ、気取らない雰囲気で食べ飲みできる点が魅力だ。
あじの干物、マグロかまのスペアリブ風、マグロの竜田揚げなどしっかりお腹を満たせる系から小田原おでんや貝の酒蒸しなど酒のお供も幅広くそろう。魚の鮮度は言わずもがな、刺身はもちろん煮付け系も秀逸で小田原の魚のおいしさをここで再確認する人も少なくない。居酒屋と定食屋のあいだといった雰囲気なので、お一人様や家族連れもぜひ気軽に利用してみて。
[土日祝] 11:00-21:00
⑫ ふわり 小田原
小田原でたゆたう非日常
小田原駅から徒歩3分。江戸情緒を感じる店内はちょっとモダンでおしゃれな雰囲気。色鮮やかな橋がかかり滝の流れる日本庭園が広がり、その中に落ち着いた掘りごたつの座敷や隠れ家感満載のVIPルーム、ムーディーなカップルシート席などが点在する。小田原で非日常をたゆたいたい人、必見。
雰囲気だけでなく料理の味も上級なので満足度は高い。名物は日替わりの刺身盛り合わせ。市場の朝どれ鮮魚を使っているから味も食感も新鮮さの極みを堪能できる。京都から仕入れがあったときのみ提供の湯葉料理や、野菜の自然な甘みが溶け出すオーブン焼き、国産にこわる地鶏のしゃぶしゃぶや牛たたきなど。「おいしいものを安心して食べたほしい」とのオーナーの心遣いが味に結実した逸品がそろう。
女性うけもよいお店なので女子会やデートにももってこいだが、カウンターでしっぽり一人飲みのお客さんも多いのだとか。にこやかなスタッフが目の前で入れてくれる冷え冷えのビールはたしかに、無上の喜びだ。
[土曜・日曜] 17:00-0:00
地元愛と小田原居酒屋
個人的な見解だが、小田原の人は地元愛が強い印象がある。それも強烈な感じではなく、さりげなく心に置いてあるような。たとえば大人になって東京で挑戦し、ふと心に隙間ができたときにふらっと小田原へ帰ってくる。地元の友達と他愛ないおしゃべりをしたり海を眺めたりして充電し、また東京へ戻っていく。都会から決して遠くない、でも景色や空気は明らかにちがう。そんな小田原は、大げさでなくほどよい加減で疲れを癒してくれるのかもしれない。
心の隙間を満たす友達とのおしゃべりには、おいしいお酒もきっと欠かせない。ふるさとの新鮮な魚の味も、心と体を元気にしてくれそうだ。小田原の居酒屋は、地元に帰ってきた人たちを優しく後押しする役割も、果たしているのかも。