めしレポに「ニュース」カテゴリ開設!※本サイトはプロモーションを含んでいます。

【上野~新橋 編】吉田類の訪れた酒場10選【吉田類の酒場放浪記】

東京(江戸)を代表するエリアで風情飲み

酒場詩人こと吉田 類さんが素敵な酒場に酒と肴を求めてさまよう番組、「吉田類の酒場放浪記」。BS-TBSにて月曜夜9時に放送されている2003年から続く長寿番組だ。街を散策してお酒へのモチベーションを高めた類さんが、とびきりの酒場へ赴き、幸せにお酒を飲むといった内容。一見代わり映えしない内容だが、訪れたお店の主人や女将、常連と絡んで楽しげな類さんをみると、思わずこちらも笑顔になってしまう。

この記事では番組内で吉田さんの訪れたお店の中でも、もうあまり再放送されることのない10年以上前に初回放送されたお店から、山手線沿線の上野・東京・新橋周辺に絞りこみ、今もなお現役の10店舗を紹介する。

今回のエリアは東京でも特に歴史が深く、老舗の飲み屋や歴史のあるつまみなどが多数存在している。昭和の香りを現代に伝えるお店から、創業100年を超える居酒屋としては超老舗なお店も。今夜のよい酒場との出会いに、この記事も一つの参考になればうれしい。

吉田類の訪れた酒場10選

店舗
(クリックで詳細)
放送回
(リンクは公式ページ)
山手線 最寄駅 ジャンルや看板メニュー
大統領 #079 上野 もつ焼き もつ煮込
味の笛 #048 御徒町 海鮮 セルフ
赤津加 #234 秋葉原 鳥もつ煮込み 海鮮
とり庄 #336 秋葉原 焼き鳥
みますや #354 神田 さくらさしみ 煮込み
安兵衛 #078 神田 おでん マグロ
鳥藤 #034 有楽町 ミルクワンタン 鳥料理
酒蔵 かっぱ #032 新橋 鯵のなめろう さばくんせい
大露路 #166 新橋 ハムフライ オムレツ
ほさか #217 新橋 焼き鳥

① 大統領【上野】

もつの煮込みも焼きも旨い アメ横の老舗代表格

戦前より東京の北の玄関口として埼玉以北から上京してきた人々を受け入れ続けている上野。東京から故郷を思う駅として「関東の駅百選」に選ばれてからも、また四半世紀が経とうとしている。
東京都恩賜上野動物園をはじめ上野恩賜公園に集中する美術・博物館群と双璧をなして、上野のイメージを形成しているのがアメヤ横丁、通称『アメ横』である。雑多な店が立ち並ぶ様は変わらずそのままだが、「袋詰め」や「たたき売り」以外の目玉は「ケバブ屋のお兄ちゃん」など、良くも悪くも多国籍化が進みつつある。

しかし、戦後からのアメ横の雰囲気をいまだに受け継ぐ酒場も存在している。上京した人々がみなそろってコンクリート砂漠で凍えた時代から、東京の人情代表として誰これ構わず受け入れた懐の深い老舗が「大統領」だ。

類さんが#79にて訪れたこのお店。モツ焼きと煮込みに焼き鳥といった、これぞ酒場なラインナップに紛れ、番組に登場した「馬モツの煮込み」のようなレアな料理が提供されることも。
通い詰めた常連のようなお客が多く、やや気おされてしまう部分もあるかもしれないが、そこは皆酔っ払い。まずはもつ焼きおすすめ五本450円から!大統領と上野の人々に、今日飲みをゆだねてみてはいかがだろうか。

店舗情報

住所: 東京都台東区上野6-10-14

アクセス: JR上野駅不忍口から徒歩3分
営業時間:10:00-24:00
定休日:年中無休
平均予算: 1,000-2,000円

② 味の笛【御徒町】

入って取って飲む! 究極のセルフせんべろ

JR上野駅からアメ横をふらふら。「あんな店がある。」「あの店無くなっちゃった?」などと楽しんでいるといつの間にかついてしまうのがJR御徒町駅。アメ横の先の道をもう少し行くとガード下に見つかる酒場が「味の笛 本店」さんだ。

入店するとすぐに立ち飲みスペース。そこを手刀(てがたな)切って通してもらえば、左手にずらりと肴が並ぶ。プラスチックのパックに入った肴から、気になるものをちょいと取り、プラコップに入った安い酒を受け取り会計すれば、あとは好きな場所で飲むだけである。

立ち飲み酒場としても屈指のファスト感に、1トレーごとも低コストだが、肴のクオリティはきちんと座る居酒屋に引けを取らない。#48で訪れた類さんも、干物のレベルの高さに
びっくり。御徒町を代表するビルを持つ鮮魚取り扱いの「吉池」さんが経営していることがその理由だ。

今や一つの観光スポットとなっている「吉池 本店」に対して、こちら「味の笛 本店」は立ち飲みの聖地になりつつある。食べ応えのあるものを選んで二階に上がれば腰を据えて飲むことだってできる。
好みのせんべろを求めるあなたに、御徒町の酔っぱらいファストフードとしておすすめしたい。

店舗情報

住所:東京都台東区上野5-27-5 1F・2F

アクセス: JR御徒町駅南口より徒歩1分ガード下
営業時間:15:00-22:00 L.O.21:30
定休日: 日曜
平均予算: 1,000-2,000円

③ 赤津加【秋葉原】

メイド街にポツリと昭和の名店

江戸時代の三大「やっちゃ場」こと神田の青物市場。度重なる火災の跡地に火防の霊験で知られる「秋葉権現」を祀り、広大な敷地ができた今の秋葉原に移転したのが昭和3年。それから大田区の現東京都中央卸売市場に青果部が集合する平成元年まで、秋葉原は家電の街であるとともに青果の街でもあった。

青果の街であった秋葉原を知る老舗居酒屋「赤津加」は、世界きっての電脳街かつオタクカルチャーシティとなったアキバの街並みの中で、今も酒飲みたちに愛され続けている。

#234で類さんが訪れたこのお店。長く店を切り盛りしてきた先代の女将と、長野の料亭で修業を積み、板長として帰ったお孫さんの二人を中心にお店が回されていた。放送から10年以上が過ぎた今は、板長である板長が営業の柱を担っている。

やっちゃ場時代の仲買の屋号も飾られている店内でいただけるのは、料亭仕込みの手の込んだ肴の数々。先代から引き継がれた、珍しく「鳥もつ」を使用した煮込みは今も看板メニューの一つだ。

実は「赤津加」さん、PlayStation Portable用として発売され、のちにアニメ化もされたゲーム「AKIBA’S TRIP」にて、主人公たちの集まる「秋葉原自警団」のアジトの隣のお店として描かれている。戦後創業の白い漆喰と黒の板垣は、様変わりするアキバの街の中で慕われ続けるお店だ。

店舗情報

住所: 東京都千代田区外神田1-10-2

アクセス: JR総武線・山手線 秋葉原駅電気街口より 徒歩3分
営業時間:
[月曜-金曜]11:30-13:30/17:00-22:30
[土曜]17:00-21:30
定休日: 日曜・祝日・第1・3土曜
平均予算: 4,000円程度

④ とり庄【秋葉原】

路地裏狭い店内でビッグな焼き鳥

戦後、ラジオ系の露店闇市から三種の神器をはじめとする家電のメッカを経てアキバの中心となった千代田区外神田ゾーン。ディスカウントショップや書店にゲームセンターなど、秋葉原のメインストリートである中央通りから、ランドマークとなった秋葉原UDX側に突っ切る狭い路地に、その酒場は存在する。

#336にて類さんの訪れた「とり庄」は、室外機とダクトに挟まれた赤ちょうちん赤暖簾がノスタルジーを誘う昭和の景色を残すお店。狭い入り口から気持ち肩をすぼめて入店すると、店内カウンターもまた近年の居酒屋の潮流に反してこじんまり。

しかしながら、提供される焼き鳥は対照的に軒並みビッグサイズ。つくねも大ぶりだが、野菜串はどこをつかむのかわからない量でこれまた驚きの一串になるだろう。

焼鳥屋の相場からすると割高な店に見えてしまうかもしれないが、一本一本を食せば納得できるお店なはず。アキバに隠れた昭和の雰囲気を満喫しに訪れてみてはいかがだろうか。

店舗情報

住所: 東京都千代田区外神田4-3-12

アクセス: JR秋葉原駅電気街口 徒歩5分
営業時間:
[月曜-金曜]17:00-22:30
[土曜]17:00-22:00
定休日: 日曜・祝日
平均予算: 3,000-4,000円

⑤ みますや【神田】

東京、はたまた日本最古!?の超老舗居酒屋

江戸時代、量り売りで販売する酒屋にて、その場で居残り酒を飲むことから「居酒」として立ち飲みスタイルで始まったとされる「居酒屋」。その歴史を感じさせる老舗中の老舗が、神田駅から少し離れた、淡路町、小川町両駅の間あたりの立地で営業を続けている。

「みますや」さんは、酒屋そのものではなく居酒屋としての形態に絞ったうえで、「日本最古の居酒屋」として扱われることが多い。座った客に酒と肴を提供する現代の居酒屋スタイルでは別格の創業明治38年(西暦で1905年)のこの老舗。圧倒的な歴史に決して驕ることなく、今も庶民的な価格で酒と肴を提供している。

老舗らしく、ふぐちり鍋など、居酒屋より割烹で見るようなメニューも並ぶが、特におすすめとしたいメニューは「さくらさしみ」である。
さくら肉と言えば、日本では牛よりも古くから親しまれている獣肉の一つである馬肉のこと。つまりは馬刺しを当時の呼称のまま出しているといったメニューだ。
#354にて類さんも注文したさくらさしみの「赤身」は伺ったら食べたい一皿。その他旬の素材を使ったメニューの数々は最高の飲みのお供になってくれる。

その歴史に怖じ気づくのはあまりにもったいない。一度入るとその日が最高の飲みになるかもしれないお店だ。

店舗情報

住所: 東京都千代田区神田司町2-15-2

アクセス:
JR神田駅 西口から8分
東京メトロ丸の内線淡路町駅、都営新宿線小川町駅から3-4分
営業時間:11:30-13:30/17:00-22:30(L.O.22:20)
定休日: 日曜・祝日
平均予算: 4,000円前後

⑥ 安兵衛【神田・東京】

生まれ変わった日本橋のおでん

かつては地下鉄新日本橋駅から程近くで、三井タワーの裏路地で戦前古くからのれんを守るおでん屋として知られた「割烹 安兵衛」。割烹の名は創業時(昭和5年)のもので、どちらかと言えばおでん中心の飲み屋として愛されていた。

ただ割烹の名に恥じない自慢の魚介も刺身として提供されている。これが創業以来の付き合いによる仕入れのもの。中でも特に鮪には絶対の自信を持つお店だ。#78にて類さんが訪れた際も、日本酒と刺し盛りという取り合わせで一山を迎えた。

日本橋で愛され続けるおでんは昆布と鰹節の上品な出汁。はんぺんや卵など、味をしみこませるために切り込みを入れる「おでん定食」も特徴的だ。

路地裏で異彩を放っていた蔵風の白壁の店舗は再開発のために取り壊し、移転となってしまったが、三越前の新店舗は洗練され、日本橋の割烹らしいきれいなお店となっている。黒く重い扉の内側で、腰を据えてゆっくり飲めるお店だ。

店舗情報

住所: 東京都中央区日本橋本町2-3-2

アクセス:
JR総武本線 新日本橋駅 出口4から徒歩1分
JR各線 神田駅 東口より 徒歩10分
東京メトロ銀座線 三越前駅 A8出口から徒歩3分
営業時間:ランチ 11:00-14:00/
16:30-22:00(L.O.21:00)
定休日: 土曜・日曜・祝日
平均予算:4,000-5,000円

⑦ 鳥藤【有楽町】

高架下Deepな「ミルクワンタン」

有楽町の「ガード下」は、#34の冒頭にて類さんが触れていたように、一説にはガード下街の発祥の地である。その歴史は竣工の明治43年にまで遡る。
当時はまだ農村地帯で鉄道の通しやすかった皇居西側、赤羽-品川間は明治18年に地べたで開通する。しかしすでに上野-新橋間には乗り合い馬車などの交通が発展、完成されてしまっていた。

その交通網に影響を与えないように鉄道を引く唯一の選択肢が「高架」だった。
当時日本の製鉄技術は発展途上であったため、有楽町や秋葉原などの高架のうち、鋼材性の部分には「ドイツ製」との表記もみられるほどである。

それらの日本で最も歴史のある高架下スペースだが、戦前は鉄道の騒音などから事務所や倉庫として用いられ、客商売の店はほぼ見られなかった。戦後の闇市から居酒屋文化醸成の中で、有楽町のガード下は昭和の勤め人のオアシスに姿を変えていったのである。

看板メニュー、ミルクワンタンで知られる「鳥藤」さん。昭和、特に丸の内に都庁のあった時代から後輩へ後輩へと紹介され、常連の集うこのお店は、ここでしか食べられない「ミルクワンタン」を求める客で今も連日にぎわいを見せるお店である。

戦後の食糧難、特に国による米の取引制限から、ワンタンと牛乳による栄養の取れる料理を発案したというこのお店。まろやかだが、鶏ガラのうまみを確かに感じる不思議な戦後の味わいを、ぜひ味わっていただきたい。

店舗情報

住所: 東京都千代田区丸の内3-7-9

アクセス:JR有楽町駅、地下鉄有楽町駅から徒歩4分
営業時間:17:00-23:30
定休日: 土曜・日曜・祝日
平均予算: 2,000-3,000円

⑧ 酒蔵 かっぱ【新橋】

海鮮、燻製にピザ、グラタンまでの和洋折衷

SL広場を中心としたサラリーマンの聖地として昭和からたびたび取り上げられる日本随一の酒場街「新橋」。#32にて初めて番組で初潜入した際に類さんが訪れた店が「酒蔵 かっぱ」さんである。

その日使う分だけ仕入れるという魚介を使った料理が人気の酒場で、提供するお店の減りつつある「鰺のなめろう」「鰯のなめろう」や、「マグロのカマ刺し」などかこちらの定番メニューである。

これら魚介メニューと安くて他店より甘めなホッピーで、十分特徴的なお店と言えるが、かっぱさんの魅力はそれにとどまらない。

グラタンコロッケにハンペンピザ、「ちょっと」厚めのハムカツに特製さばくんせいを始めとする燻製メニューまで、調理法から素材まで和洋折衷個性派ぞろいなツマミが顔を揃えている。オリジナルメニューは家飲みで再現したくなること間違いなしの逸品ぞろい。

また酒飲みの街新橋においても特に居心地の良い店としての評価も高い。表と裏で、赤ちょうちんと黄看板、ビールと角の提灯、ビニルカーテンに板看板とまるで別のお店かのような入口の差にも注目したい。どちらにせよ、昭和酒場の雰囲気満点のお店である。

店舗情報
B1F
住所:東京都港区新橋4-19-1 梶山ビル 1F

アクセス: JR山手線ほか 新橋駅烏森口 徒歩2分
営業時間:
平日 16:00-22:00
土曜 17:30-22:00
定休日: 日曜・祝日
平均予算:4,000円程度

⑨ 大露路【新橋】

TOP5000入り!昭和の一杯飲み屋

新橋駅を西に降りるとまず目に入るのがSL広場、その隣にそびえたつのがサラリーマンの聖地として名高い雑居ビルの王様「ニューしんばしビル」である。せっかく新橋に来たのだからと、毎度このビルに吸い込まれそうになってしまうが、新橋の力はここのみに収まるものではない。

駅前から広がる通りとそのまた路地裏まで広がる酒場街。その中でもサラリーマンの味方として長く愛され続けるお店が「大露路」さんである。

例外で張り出されるメニューを除き、常設の短冊メニューは一律300円、お酒もサワーなど多くを300円で提供するこのお店。食べログの口コミ平均予算は1000-2000円と、座り飲みの居酒屋スタイルでは驚きの価格帯だ。

そして決して安かろう悪かろうではない、本来のコスパを味わえるお店でもある。名物は極厚の「ハムフライ」。これを求めて何度ものぞいては、満席で振られるという声も多い。運良く座れたら絶対に頼みたい一皿だ。

店舗情報

住所: 東京都港区新橋3-10-6

アクセス: JR新橋駅 烏森口から徒歩4分
営業時間:16:00-23:00
定休日:土曜・日曜・祝日
平均予算: 1,000-2,000円

⑩ ほさか【新橋】

昭和から変わらずそこにあるほさかワールド

近隣で勤めるビジネスマンに合わせ、平日の夜に最もにぎわいを見せる街「新橋」。メッカともいえるニュー新橋ビルの駅から見て裏側、烏森神社の参道脇は昭和の高度経済成長期からリーマンの集まる聖地であった。

その時代の雰囲気を現代に伝えるお店として多くの人に語られるのが角の立ち飲み「王将」さんであるが、そちらにも劣らない昭和なお店としてディープスポットとなっているのが、「ほさか」さんである。

類さんが#217で訪れた際も提供されていた5本/7本のセットが定番。合鴨から始まるメニューの端から提供されるこのセットは、それぞれの串が2本ずつ出てくるため実はボリュームもしっかり。シメのうまみたっぷりの鳥スープで脂を流すのが老舗の伝統である。

看板や外の張り出しメニューからそこにある「昭和」と、老舗の確かな焼き鳥が味わえるお店だ。

店舗情報

住所: 東京都港区新橋2-15-5

アクセス: JR新橋駅 烏森口から徒歩3分
営業時間: 16:00-22:30
定休日:土曜・日曜・祝日
平均予算: 3,000円-4,000円

酒場放浪記で吉田類の訪れた酒場10選 まとめ

「吉田類の酒場放浪記」開始から18年目、900店舗を超えるアーカイブから2010年までに紹介され、今も現役で営業を続けるお店から10店舗。上野から新橋の山手線沿線に絞って紹介した。
時代とともにお店も入れ替わり、安価なチェーン居酒屋の台頭とともにひっそりと閉店していく酒場たち。そんな時代に、近隣ビジネス街で働く人や地元の人に愛されて営業を続ける名店ぞろいだ。

今回紹介したエリアは都内でも屈指の飲み屋天国が中心となっているため、わざわざ街を訪れて紹介したお店だけで帰るのはもったいない。番組のシメで類さんが言うような「まだまだ寄っていきたい良いお店」を探して歩くこともあわせておすすめしたい。