小田原でラーメン欲を満たす
旅行や仕事で他の地へ赴いたとき。さてごはんは何を食べようという段で、ラーメン! となる人はけっこう多い。忙しいスケジュールの合間を縫って食べるにはもってこいだし、見知らぬ土地でホッとさせるソウルフードの効能もあるのかも。さらにそこにご当地ラーメンがあったりすると、もはやラーメン欲は止めようがない。
神奈川県小田原市にも、地域ならではの「小田原系ラーメン」がある。濃い口の醤油スープに平打ちの縮れ麺が特徴だ。ただし小田原のラーメンはそれだけではない。博多、熊本、横浜家系、全国の人気ラーメンが歴史ある城下町にぎゅっと集まっている。「今日は何系を欲しているのか?」みずからの衝動に真摯に向き合い、今宵のラーメンをいざ、実食!
小田原で駆け込むべきラーメン店 7軒(目次)
店舗 (クリックで詳細) |
特徴や内容 |
① 味の大西 | 不動の人気、元祖小田原系 |
② くまもとらーめん ブッダガヤ | 本場を超える味との噂 |
③ らぁ麺 桃の屋 | 女性ウェルカムのやさしさラーメン |
④ 城下町 どすん | めくるめくだしの世界 |
⑤ 栄華軒(えいかけん) | 神奈川ご当地、サンマーメンを食す |
⑥ 横浜家系ラーメン 小田原商店マックス | 自分好みのカスタマイズが楽しい |
⑦ 博多長浜ラーメン 翔龍 小田原ぶらり横丁 | すっきりまろやか豚骨スープ |
① 味の大西
不動の人気、元祖小田原系
豚骨醤油スープに平打ち縮れ麺。この掛け合わせを旨とする “小田原系ラーメン” の生みの親。湯河原本店や真鶴店など店ごとに若干味に違いがあるので食べ比べるのも楽しい。
やっているのかやっていないのか、初回の場合ちょっと不安になる外観なのだが日曜以外はやっている。ただし時々臨時休業日あり。店に入ったら厨房の横にいっておばちゃんに注文を伝え、そのながれで給水機から水をくんで席につく、というのが暗黙のルールだ。
メニューはワンタンメン、チャーシューメンの2本柱。ここぞとばかりに食べたい!人は「ワンタンチャーシューメン」がおすすめだ。濃い色のスープは見た目の印象よりもすっきりした味わいで、あとに焦がし脂のコクがじんわりと広がる。
独特のざらつき感のある細麺はスープの引き上げも十分。生姜インパクト大なワンタンや厚切りチャーシュー(肩ロース&もも)、お約束のしゃきしゃきメンマとともにスープの最後一滴まで味わって。
小田原駅(東口)から徒歩7分
② くまもとらーめん ブッダガヤ
本場を超える味との噂
小田原でこってり熊本ラーメンが食べたくなったら迷わずこちら。緑ののれんをくぐって中に入ると強烈なほどの豚骨のにおいが食欲をそそる。
本場の熊本同様、強烈なにおいはおいしさの証。またにおいほどスープの味にくせはなく、奥深いコクは優しさすら感じる。豚骨だけでなく鶏ガラをくわえた鈍色のスープは熊本ならではのマー油(焦がしにんにく油)も特徴。とろりとしたテクスチャーに低加水のパツパツとした中太麺がたのもしく絡む。
うっすら桃色の厚切りチャーシューは、箸でつかむとほろほろと崩れるような柔らかさ。そのまま食べてもじっくりスープに浸して食べてもどちらも美味。口休めにもなるキャベツはしゃきしゃきとした食感がアクセントでこちらも名脇役だ。
小田原でくまもとラーメンはわかった。でもなぜブッダガヤ? そのへんの疑問はくまもとラーメンチェーン「桂花」出身の店主にぶつけてみよう。
小田原駅(東口)から徒歩10分
[土曜・日曜・祝日] 11:30-21:00
③ らぁ麺 桃の屋
女性ウェルカムのやさしさラーメン
小田原駅から徒歩4分。“女性が一人で入れるラーメン屋” とお店側も銘打つどおり、カフェのような温かみのある空間で、一人でも気兼ねなくラーメンをいただけるお店。
女性店主が作るラーメンは「あっさり塩らぁ麺」と「こくうま醤油らぁ麺」の大きく2つ。 鶏だしが奥深くまできいた上品な味わいで、シンプルでも丁寧に仕立てられたことが伝わるおいしさだ。肉の旨みたっぷりの大きなチャーシューのほかにころころとしたつくねまで入ってさながらおかずラーメンといったところ。さらにランチは1,000円のセットでミニカレー丼かミニチャーシュー丼がつき、じつはこちらも隠れファン多し。
あおさ、チーズ、フライドオニオンなどの個性派トッピングで新しい自分流を探してみるのも楽しい。
④ 城下町 どすん
めくるめくだしの世界
同じ小田原市飯泉にある「飯麺どすん」の2号店。国道255の裏に入ったところで見つけづらいが、赤いテントとのれんを目指していけば間違いない。
常連を惹きつける看板メニューは優しい味わいの「あごだしラーメン」。長崎産のあご煮干しと焼きあご煮干しに羅臼昆布をブレンドしたオリジナルのあごだしは、香り立つ煮干しが湯気まで芳醇。醤油と塩が選べ、醤油はより和テイストが強い。
すっきりめがお好みの人は「鶏だし」をチョイス。透き通ったスープは雑味がなく最後まで飲み干したくなる。ここにもあごだしと羅臼昆布が入っているのですっきりの奥にじんわり広がる深いこくが特徴だ。
両者とも大きなレアチャーシューやワンタンが入って食べ応え十分。ほかにも、ご当地らしい「小田原梅塩ラーメン」やおかかご飯に濃厚卵の「どすん飯」など気になるメニューいろいろなので二度、三度と訪れたい。
⑤ 栄華軒(えいかけん)
神奈川ご当地、サンマーメンを食す
小田原駅から徒歩2分の錦通り沿い。店先の手書きのメニュー看板に街の中華屋さん風情を感じながら中へ入ると、昼時は地元客とおぼしき人たちが慣れた感じで食事にいそしむ。
ひととおりの中華メニューが食べられるこの店の一番人気は「サンマーメン」。初めて聞くとたいがい「サンマ入りラーメン」をイメージするがそうではない。神奈川のご当地ラーメンの一つで、もやし入りのあんかけラーメンのこと。
栄華軒のサンマーメンはすっきりとした鶏ガラ醤油スープの上にやさしい塩味のあんかけ。もやしのほかに木耳、にんじん、青菜、豚肉も入った具沢山がうれしい。かき分けると出会える細目の麺に、あつあつのあんをたっぷり絡ませて盛大に頬張ろう。再訪の折には和風ダレのきいた「天津飯」や素朴さに惹かれる「炒めそば」もおすすめ。
⑥ 横浜家系ラーメン 小田原商店マックス
自分好みのカスタマイズが楽しい
家系ラーメン「町田商店」のチェーン店。午前3時までとパワフルな営業で深夜組の駆け込み寺的な存在。
ザ・家系スタイルでスープの濃さ、脂の量、麺の硬さをカスタマイズできる。ニンニクや生姜の加減など店のおすすめが指南されているので初回の人は参考にしてみて。
こっくり濃厚な豚骨醤油がベースだが、塩や期間限定の味噌もあり、そこから燻製チャーシューメン、ネギラーメン、塩味玉ラーメンなど細分化。トッピングものり増し、うずらV、味付け白髪ねぎ、ほうれん草など気分でいろいろ選べる。なかでも人気の「もやキャベ」は別皿でくるもやし&キャベツの山盛りで、ラーメンダレでほどよく味付けされているからそのまま食べて箸休めにするのもおすすめだ。
トッピングするとだいたい丼全面を覆う大ボリュームとなるので、特製太麺の食べごろを逃さないように勢いつけていただこう。
⑦ 博多長浜ラーメン 翔龍 小田原ぶらり横丁
すっきりまろやか豚骨スープ
小田原駅から徒歩4分。ビルの地下にある小田原ぶらり横丁の一角に見つける赤いのれんに赤い提灯。博多風情たっぷりの翔龍は、正統派博多長浜ラーメンが食べられるお店だ。
まろやかな豚骨スープは臭みがなく食べやすい。硬めの麺のプツプツとした歯ごたえを楽しみながら、卓上のニンニクや生姜を加えて味変も。今日はがっつり食べたい! という人は「炙りチャーシューラーメン」をチョイスして。丼からはみ出すチャーシューは甘みのあるタレをしっかり吸い込み、単体でごはんと一緒に食べたくなるおいしさだ。
600円からという値ごろ感がうれしいしうえに、火曜は定番の「長浜ラーメン」と「特製ラーメン」がサービス価格に。次回から使える替え玉の無料券ももらえて、庶民の強い味方といったところ。
[日曜] 11:00-21:30
まとめ
小田原でラーメン欲を発動した場合に駆け込みたい7つのお店を紹介した。それにしてもに日本人はラーメンが大好き。今日はパスタ、今日はハンバーグ、決めていたはずなのに気づけばカウンターに並んでラーメンの着丼を待っている。さておいしいものがたくさんある小田原の街。新鮮な魚のおいしさに出会える海鮮丼や干物定食、かまぼこを使った小田原おでんなんかもいい。めったにない観光の機会であればなおのことご当地の味を楽しんで… ほしいものだがやっぱりラーメンも捨てがたい。