歴史の街、倉敷で訪れたいランチ店20選
瀬戸内海に面する倉敷の街は、江戸時代に物資の集散地として栄え、づづく明治時代には倉敷紡績所が創設されたことで経済的に大きく発展した。当時の繁栄を彷彿とさせる街並みは、白漆喰塗りの壁や切子格子付きの窓が特徴の町屋や土蔵が建ち並び、全国有数の美観地区として保存されている。
そんな倉敷の街には当然ながら、一年を通して多くの観光客が訪れる。結果として、美観地区や大原美術館近くを中心に飲食店が多く存在するが、観光地としての歴史も長いことから老舗や名店の多いことが特徴だ。この記事では、そんななかからとくにランチタイム利用におすすめのお店20選を、ジャンルに分けて紹介する。街並み保存の意識が高いエリアのため、昔の町屋を改装するなど趣き深い空間で食事をできるお店も少なくない。友人や家族と、または一人でのんびりと、情緒あふれる倉敷の街に溶け込んで特別なランチを楽しんでみては。
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倉敷のおすすめランチ 和食のお店 6選(目次)
店舗 (クリックで詳細) |
特徴や内容 |
① みそかつ梅の木 | 「揚げない」かつと秘伝のみそだれ |
② 江戸切りそば 石泉 | その時期一番のおいしいそばを楽しめる |
③ 梟亭(ふくろうてい) | 秘境感たっぷりの山小屋で食す地鶏料理 |
④ 本格手打ちうどん とも作 | 香川人をもうならせる絶品うどん |
⑤ 倉敷 和のうまみ処 桜草 (さくらそう) | 美観地区の一角で “しとやか和風ランチ” |
⑥ 浜吉 | “瀬戸の活き” を味わう小魚料理の名店 |
① みそかつ梅の木
「揚げない」かつと秘伝のみそだれ
倉敷駅より徒歩5分。昭和55年の創業以来、特製のかつと秘伝のみそだれの変わらぬ味を守りぬくメディア取材多数のみそかつ専門店。
梅の木のかつが他とちがうのは、ずばり「揚げない」こと。細かな生パン粉でくるんだ豚ヒレ肉をフライパンで軽く焼き目をつけたら、そのあとオーブンでじっくりと時間をかけて焼き上げる。揚げたのとはちがうカリカリの薄い衣にからじゅわっとあふれ出す肉汁でやけどしないように気をつけて。また、門外不出のレシピを受け継ぐみそだれはゆずや香味野菜が香るさわやかな味わい。甘すぎなくて食べやすいので、焼き立てのかつにたっぷりかけていただこう。セットでついてくるうずらの卵を落としたユニークな赤出汁も必見。
ちなみに、みそかつだけでなくハンバーグやエビフライ、鶏の唐揚げなどいろいろな定食メニューを用意している。子どもから大人まで気軽に食事を楽しめるお店だ。
② 江戸切りそば 石泉
その時期一番のおいしいそばを楽しめる
新鮮なそばを毎朝石臼で挽いて打ち上げるこちらのお店。季節ごとに仕入れる産地を厳選しているので、訪ねるたびにその時期一番おいしいそばいただくことができる。
つゆの奥行きが食欲をそそる「鴨そば」をはじめ、薬味たっぷりの「辛おろしそば」、サクサクのかき揚げに海苔の風味が引き立つ「天おろしそば」、独特のとろみがやさしい「じゅんさいそば」のほか、和洋融合のかわりだね「エビ・トマト・クリームそば」までメニューはバラエティ豊か。
板わさやもずく酢、汲み湯葉などのそば前が充実しているので、手始めの日本酒が思わずすすんでしまうかも。和の風情満載の外観は格式高い印象もあるが、店内は誰かのお宅に招かれたような家庭的な雰囲気。座敷もあるので観光疲れをゆっくりと癒そう。
[土曜・日曜・祝日] 11:30-15:00 17:00-20:00
③ 梟亭(ふくろうてい)
秘境感たっぷりの山小屋で食す地鶏料理
倉敷市小島白尾にある地鶏専門店。駅でいうと上の町駅から直線距離で3,500mほどあるので車必須となる。ジブリ映画に出てきそうなうっそうとした山道に心細くなりながらも根気強くのぼっていくと、出会うのはまさに“天空の隠れ家”。「増築しているうちにこうなった」という孤高の建物の中は開放的でリラックスできる雰囲気だ。見渡す限り続く山々を窓から眺めながら、旨みぎっしりの徳島の地鶏「阿波尾鶏」を使った至福の地鶏料理を堪能しよう。
ランチはリーズナブルな平日限定の日替わりメニューのほかに、「地どり唐揚げ御膳」や「そぼろ山椒丼膳」、「チキン南蛮御膳」などがデザートや飲み物セットでいただける。そんななかでおすすめしたいのは「DX炭火焼き&親子丼御膳」。もも、むね、レバー、皮などのあらゆる部位を目の前の七輪で炭火焼きする臨場感がたまらない。一方の親子丼は、蓋を開けたとたん出汁が香り立ち、ふわとろの卵を頬張るたび口の中にまろやかなしあわせが染みわたる。
ワイルドな道中込みで楽しみたい梟亭。鷲羽山や王子が岳方面の観光のおりにもぜひ。
④ 本格手打ちうどん とも作
香川人をもうならせる絶品うどん
香川の名店「おか泉」で修業した店主が営む人気のうどん屋さん。ほんのり透き通った中細の麺は、噛んだ歯を押し戻すようなしこしこ・もちもち食感が信条。甘めのつゆとからんでつるつると軽快にのどを通っていく。温メニューと冷メニューの比率は半々くらいで、看板メニューは「とも作ぶっかけ」(冷)。そそり立つ大ぶりの海老天と、大葉、カボチャ、さつまいもの天ぷらがサクサクと香ばしい。麺のおいしさをより純粋に楽しみたい人には「生じょうゆ」がおすすめ。すだちの香る出汁醤油をたらしてしっかり角の立ったうどんの食感をあますところなく味わえる。
香川の潮流を感じられるおでんや、いなりずしやおにぎりなどのサイドメニューも。子どもにはちびっ子うどんもあり、家族でも気兼ねなく来店できる。瀬戸内海を渡らずとも香川レベルのおいしいうどんを食べられる貴重なお店。
⑤ 倉敷 和のうまみ処 桜草 (さくらそう)
美観地区の一角で “しとやか和風ランチ”
倉敷の美観地区の町屋を2014年にリニューアルオープン。心落ち着く趣き豊かな空間で、料理人たちが丁寧に作り出す繊細な和食を楽しめる食事処。
11:30からのランチは、数限定の「松花堂弁当」や天ぷらつきの「茶そば御膳」、ふわふわの穴子天や旬の野菜天が食べられる「穴子天重御膳」のほか、店名を冠した「桜草御膳」もおすすめ。お造りや揚げ立ての天ぷら、茶わん蒸しに小鉢が3つついて1600円とお財布にもやさしい。味付け、食感、盛り付け、どれをとっても素材の魅力を最大限に生かした繊細な手仕事がうかがえる逸品だ。
わらびもちや豆乳プリンなどの和スイーツもあるので食後は日本茶を飲みながらゆったりと語らいたい気分。日本の良さをしみじみと感じられるような “しとやかランチ” を満喫しよう。
⑥ 浜吉
“瀬戸の活き” を味わう小魚料理の名店
日本有数の漁場である瀬戸内海。この海に面した倉敷に来たからには新鮮な魚料理を存分に味わいたいもの。ここ浜吉では倉敷有数の港、下津井漁港から毎日届く海の幸を長年の経験で培った確かな技術で至高の料理へと昇華する。丹精込めておろした刺身や旬の野菜も楽しめる煮物、魚介のおいしさをシンプルに味わえる焼き物、ここでしか出会えない珍味まで、魚への愛情と誠意が込められた珠玉の逸品を味わおう。
11:30~14:00までのランチタイムは、焼魚定食、煮魚(あら煮)定食、刺身定食のほか、岡山名物のままかり(ニシン科の小魚)を刺身や酢漬け、寿司などでいただく「ままかり定食」(2500円)が看板メニュー。他の地域では表舞台に出ることの少ない瀬戸ならではの小魚がつややかにその個性を光らせる。さっぱりした味わいをダイレクトに楽しむのが正解で、醤油やわさびなしで食べるのもオツだ。
「倉敷でおいしい魚料理を食べたい」と思ったら絶対にはずせないお店。