国技館のお膝元 ちゃんこ文化の街「両国」
年3回の本場所(初、夏、秋場所)が行われる大相撲の興行施設「国技館」の所在地であり、撲の影響を色濃く受ける街として知られる両国。
駅北側には国技館をはじめ、江戸東京博物館や旧安田庭園など、ある程度以上の敷地面積を持つ施設群が存在する。
一方、地名も「墨田区両国」となる駅南側は駅前から京葉道路、二本の首都高や清澄通りに挟まれた広い街区が存在し、相撲部屋伝統のちゃんこ鍋のお店をはじめ多くの飲食店が集まるのも南側となっている。
せっかく両国を訪れたのであれば、街独自の文化として発展をし続ける「ちゃんこ鍋」をおいしくいただきたいところだ。この記事ではグルメサイト「食べログ」などで高評価を受けるちゃんこ鍋のお店を、利便性にも優れた駅チカのお店と、少し歩いてでも食べたいこだわりちゃんこ鍋のお店の2グループに分けて紹介する。
ちゃんこ鍋のお店は「本場所シーズン」に予約が殺到する。相撲を見てからちゃんこ鍋といきたいのであれば、めぼしい店を前もって予約しておくことをおすすめする。
①JR両国駅近くのおすすめちゃんこのお店9選
②少し遠くても行きたい!こだわりちゃんこのお店6選
JR両国駅近くのおすすめちゃんこの店9選
駅チカ① 川﨑
受け継がれる名店の鳥ちゃんこ
「川崎」さんは、両国ちゃんこ鍋のお店の中でも、昭和12年創業と特に歴史のあるお店。
大看板に書かれた「ちゃん古」(古は変体仮名)の文字や、黒く塗られた一軒家のつくりなど、随所に老舗を感じさせる。
力士のゲン担ぎとして「手をつく負け姿勢となる四つ足の動物は食さない」というものがあり、実は国技館の地下にも焼き鳥工場がある。幕下力士であった初代が始めた「川崎」もその伝統にもれず、提供するのは鶏ガラをベースとするちゃんこと焼き鳥のみだ。
戦前からつながるちゃんこの味を両国1と支持する声も多く、濃いめの鶏ガラのやさしい味わいの中に煮込まれた具材は腹に染み渡るおいしさ。鳥一本の老舗のこだわりが詰まった鍋だ。
コースで頼めば焼き鳥に鳥わさもついてお腹いっぱいになること間違いなし。酒量がかさまなければ会計も満足できる額に収まることだろう。ちゃんこ鍋を語るうえでまず一度訪れておきたい名店だ。
住所:東京都墨田区両国2-13-1
駅チカ② ちゃんこ巴潟
友綱部屋の味 四種の四股名ちゃんこ鍋
「ちゃんこ巴潟(ともえがた)」は、店名にある巴潟関(最高位:西小結)が定年前年に友綱の名跡を継ぎ、退職後に友綱部屋の跡地に開業したちゃんこ鍋のお店である。「ちゃんこ霧島」と肩を並べる大型店であり、開業以来人気の絶えないお店だ。
巴潟さんの一番の魅力は、場所のたびに訪れても飽きない4種類のちゃんこの存在だろう。ソップ煮と呼ばれるオーソドックスな醤油味のちゃんこ「太刀山(たちやま)ちゃんこ」から、初代の四股名を冠した味噌ちゃんこ「巴潟ちゃんこ」、水炊き風の「矢筈山(やはずやま)ちゃんこ」、塩味の「国見山(くにみやま)ちゃんこ」、と個性豊かなちゃんこはどれも絶品。
好みで1つを目当てに通うも、その日の気分で選ぶもよしだ。
また個室席も用意があるため、連れとゆっくりちゃんこ鍋を楽しむこともできる。特別個室は一人1,000円の席料がかかるため注意。
住所:東京都墨田区両国2-17-6
JR総武線 両国駅西口より徒歩3分
都営大江戸線 両国駅より徒歩8分
[月曜-金曜]11:30-14:00/17:00-22:30(L.O.21:30)
[土曜・日曜・祝日]11:30-14:00/16:30-22:30(L.O.21:30)
駅チカ③ 相撲茶屋 寺尾
井筒三兄弟長男の有名店、その実力
「相撲茶屋 寺尾」は、JR両国駅南側徒歩2分の好立地、本場所開催時期には店内50席が予約で埋まる人気のちゃんこ鍋のお店である。NHK相撲中継でも向正面解説として出演する機会も多い元寺尾関、錣山親方の四股名を冠したこのお店。井筒三兄弟として知られた鶴嶺山・逆鉾・寺尾関の長男、鶴嶺山関の開業したちゃんこ鍋のお店だ。
人気のソップ鍋こと「しょうゆ」味もおすすめだが、寺尾さん一番の驚きのメニューは「カレー」味ちゃんこだろう。近年ちゃんこDiningなどの隆盛により変わりダネのちゃんこが増えつつあるが、その源流とも呼べるのがこのカレーちゃんこだ。実際に相撲部屋でも若手力士に人気のカレーちゃんこ。「スパイスの利いた本格派」というよりは「だしの利いたまろやか家庭的」な味わいで、シメのカレーラーメンまで香辛料で疲れることなく楽しむことができる。
また、土日に開かれるランチのちゃんこセットもお勧めしたい。両国でちゃんことなるとコースで4,000円を超えてしまうのが普通な中で、ランチとしては十二分な量を1,200円のサービス価格で楽しむことができる。場所中は大変に混み合うお店なので、予約をしてから伺いたい。
住所:東京都墨田区両国2-16-5 あづまビル 1F
[火曜-金曜]11:30-13:30 (ご予約に限り営業。両国での大相撲場所中は毎日営業。)
17:00-22:00 (L.O.21:15)
[土曜・日曜・祝日]11:30-13:30/17:00-22:00 (L.O.21:15)
駅チカ④ 安美 両国総本店
伊勢ケ浜部屋直伝のちゃんこ
両国駅東口から車道を渡り右に曲がるとすぐ。雑居ビルの二階にて営業をしている「安美 両国総本店」は、安美錦を思わせる名前の通り、安治川部屋、並びに現伊勢ヶ濱部屋ゆかりのちゃんこ鍋のお店だ。
伊勢ケ浜部屋直伝のちゃんこの味をうたうこのお店。人気メニューはその名も「伊勢ヶ濱部屋ちゃんこ」。つみれから染み出すコクとしょうゆのあっさり味は、ちゃんこの「健康食」である一面を感じさせながらも、深い旨味で野菜もお肉もすいすい食べられてしまう。「豚キムチちゃんこ」、「坦々ちゃんこ」などの変わりダネちゃんこも人気。リーズナブルな価格設定で通いやすい安美さんならではの飽きさせないメニューだ。
また安美さんはランチちゃんこのコスパナンバーワンとの呼び声も高い。なんと定番ちゃんこ定食は税込990円。仕入れによって日替わりで出される日替わりちゃんこを特におすすめしたい。5%引きになるクーポンなどのサービスもあるため、ぜひ利用しておてごろちゃんこを満喫しよう。
住所:東京都墨田区両国3-26-6 伸和ビル2F
JR総武線【両国駅】東口すぐ
都営地下鉄大江戸線【両国駅】徒歩6分
駅チカ⑤ ちゃんこ霧島 両国本店
あれよあれよと最大手 ダブルベースちゃんこ
和製ヘラクレスの渾名でしられ、筋力トレーニングの重要性を角界に持ち込んだ元大関霧島(陸奥親方)。その霧島関が現役のころに開業し、2019年で創業25周年。系列店として立ち上げた「ジンギスカン霧島」が都内に複数店舗展開するなど、外食産業でも成功を収めている、その出発点となったお店である。
ちゃんこは味噌と醤油を合わせた「霧島味」が特徴的。陸奥部屋直伝のちゃんこ鍋の複雑な深みは成功も頷ける味わいだ。また、ちゃんこ鍋に具材を追加でいただけるのもちゃんこ霧島の特徴。夕食を最初から最後まで鍋で楽しみ切ることができる。税込4,400円からのコースメニューもお勧めしたい。お通しからシメまでを手ごろにしっかり味わうことができる。
広い店内を誇り、両国に2店舗を構えるちゃんこ霧島だが、それでも場所中は全席埋まることがしばしば。余裕を持って訪れたい。
住所:東京都墨田区両国2-13-7
JR総武線両国駅 西口 徒歩1分
都営大江戸線両国駅 徒歩6分
[月曜-土曜]11:30-23:00(L.O.22:00)
[日曜,祝日]11:30-22:30(L.O.21:30)
駅チカ⑥ ちゃんこ 友路
オリジナルごまみそちゃんこ
JR両国駅東口から徒歩2分、一軒家型で営業しているちゃんこ鍋のお店が「ちゃんこ 友路」だ。
この店でしか味わえない「特製胡麻味噌味」のちゃんこが食べられるお店として、個性を放つこのお店。元は割烹だったとのことで、ちゃんこの中身も魚介類が他のお店に比べてたっぷり。
高く積まれた具材の大皿は見ごたえ抜群だが、これを火にかけると野菜がどんどんしぼみ、ゴマダレのうまみでパクパク箸が進めばいつの間にか鍋は空、腹はいっぱいになってしまう。量を食べなくてはいけない力士の主食として親しまれるちゃんこの真の力を体感できる。
また、海鮮メニューのクオリティーもなかなかのもの。ちゃんこ割烹と言って差し支えないお店だ。
住所:東京都墨田区両国3-24-4
JR総武線【両国駅】東口 徒歩2分
都営地下鉄大江戸線【両国駅】徒歩6分
駅チカ⑦ 鉄板酒場アケボノヤ 両国店
企画居酒屋の強みを生かす!飲み特化ちゃんこ
「鉄板酒場アケボノヤ 両国店」は、JR両国駅東口から徒歩1分にある居酒屋だ。プロデュースは山口県にこだわる居酒屋「福の花」や、「ふくの鳥」と同じベアーズコーポレーション。鉄板による焼き物と、ずらりと並ぶサントリー角瓶が印象的なお店だ。
基本的には角ハイボールに合う焼き物、特にどて焼きやとん平焼きなどを中心としたメニュー構成のチェーン居酒屋だが、居酒屋チェーンならではのホルモンを使った「ホルモンちゃんこ」を提供しているのがめずらしい。二時間飲み放題付きのコースメニューは4,000円と両国ちゃんこ飲みの中では破格。
相撲好きのあつまるちゃんこ屋というよりは、酒飲みのあつまるにぎやかな酒場といった雰囲気のお店。食べログのクーポンでお安くいただける時期もあるため、居酒屋としても、ちゃんこ鍋としても要チェックだ。
住所:東京都墨田区両国3-23-9 栄ビル 1F
駅チカ⑧ ちゃんこ照国
ちゃんこダイニングスタイルと洗練された味
JR両国駅西口から2分、隅田川方面へ線路沿いを歩くと薄緑色の茶れた入り口が出迎える。
「ちゃんこ照国」は、1993年創業のちゃんこ鍋専門店。戦前戦後にかけて活躍した38代横綱、照國の名を冠したお店。開業以来ちゃんこ屋として両国で親しまれてきた。店内も落ち着いた雰囲気。ちゃんこダイニングというスタイルが流行る前のお店だが、それにふさわしい趣だ。
提供するメニューは、ちゃんこを中心に据えたコースと、アラカルトのちゃんこ鍋のみ。塩、醤油、味噌味が用意されているが、季節によっておすすめを変えるお店なので、店員に注文の際に伺ってみよう。
仕上げ(シメ)のメニューにうどん、雑炊の他に「きりたんぽ」があるのがこのお店の特徴。「秋田の怪童」と称され、当時の伊勢ケ浜親方がスカウトに行ったという、照國関にちなんだメニュー。汁を吸ってうまみを蓄えるきりたんぽと、すべての具材からダシの出るちゃんこ鍋の相性は抜群だ。
住所:東京都墨田区両国1-17-6 照国ビル 1F
総武線両国駅西口より徒歩2分
都営浅草線東日本橋駅両国橋出口より徒歩10分
駅チカ⑨ 日本料理 さくら
ホテル最上階でちゃんこ 昼はブッフェも!

第一ホテル両国の最上階25階に位置するホテルレストラン、日本料理「さくら」。両国で最も高い窓からスカイツリーを望めるこのレストラン、実はちゃんこ鍋の穴場的スポットになっている。
板長が旬の食材のおいしさという原点に徹底的にこだわり、季節感を意識した美しい和食を提供するこのお店。絶品日本料理とともに、眼下に両国の街を眺めながらちゃんこ鍋を頂くことができる。
ホテルと言えば、食べたいものを気ままに皿に取り好きなだけ食べる「ブッフェ」スタイルだ。この「さくら」さんでもランチタイムブッフェが、ホテル利用者以外にも解放されている。メインディッシュは4種類から一つを選ぶスタイルのため主菜はブッフェに並んではいないが、日本料理ならではの小鉢やデザートとともに日により味の変わる「ちゃんこ鍋」もブッフェに並ぶ。
また、ディナーにもちゃんこ鍋コースの用意があり、こちらも本意気。スープに手間をかけたちゃんこ鍋の他に、板長自信の焼き物や、旬のおつくりなどが楽しめる。
住所:東京都墨田区横網1-6-1 第一ホテル両国25F
都営地下鉄大江戸線 両国駅 A1出口直結
JR総武線 両国駅 東口より徒歩6分
【月曜~土曜】
昼 11:30 – 14:00(L.O. 14:00)/夜 17:30 – 22:00(L.O. 21:30)
【日・祝】
昼 11:30 – 14:00(L.O. 14:00)/夜 17:30 – 21:30(L.O. 21:00)
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