⑨ アバンテ
甘い物系も充実のエレガント系喫茶店
名古屋駅構内、広小路口から徒歩2分の知る人ぞ知るエキナカの老舗喫茶店。白いタイルの壁やそこにあつらわれた金の手すり、奥行のあるソファなどがが懐かしくも豪奢なムードをただよわせる。
桁違いの厚切りトーストにホイップがかわいらしい小倉トーストが定番だが、530円のモーニングも人気。420円以下のドリンクに、サンドウィッチとポテトサラダ、ヨーグルトがつく。サンドウィッチはハムときゅうりをはさんだ昔から変わらないシンプルさが朝のおなかにぴったりだ。苦味強めのコーヒーは大人な味わい。そのほかドリンク系はティーポットでサーブされる種類豊富な紅茶やバナナジュース、ミックスジュース、ソーダフロートなど喫茶店らしいメニューがずらり。コーヒーゼリーやパフェ系も充実しているので疲れを癒したい甘党の人もぜひ来店を。
⑩ パーラーみかど
地下街の片隅で名古屋の日常を感じる
地下街メイチカの通路に面した色鮮やかなショーケース。ハンバーグ、オムライス、スパゲッティ、ホットケーキ、パフェ、サンデー、レモンスカッシュ… 思わず童心に帰って眺めたくなる気分だ。実際にメニューは豊富で喫茶店メニューでないものはないのでは?と思うほどの充実ぶり。その中には「海老フライあんかけパスタ」や「みそかつ定食」、「鉄板ナポリタン」などの名古屋めしも。また、モーニングも人気で、シンプルなトースト&ゆで玉子のセットのほか、ワッフル&ソーセージやホットドックのセットを選べる。
昭和の趣きを残す広めの店内では、サラリーマンや観光客、買い物途中の地元民がごちゃまぜになって思い思いの時間を過ごしている。名古屋の代名詞ともいえる地下街の片隅で、名古屋の日常風景を垣間見られる一角となっている。
⑪ むらやま
ういろ専門店プロデュースの喫茶店
サンロード地下街の一角にある「むらやま」は「大須ういろ」が経営する喫茶店。隣には「大須ういろ」の販売店も併設している。11時までのモーニングはドリンク注文でいちごジャム付きのトーストとゆで卵がセットになる。
他であまり見ない個性派メニューとして「小倉チーズトースト」がいちおし。束の間、その相性に不安をおぼえるが、小倉の甘さとチーズの塩気が高めあって唯一無二の味に昇華している。また、ういろの専門店なだけあり、甘味の充実ぶりもむらやまの特徴。ういろはもちろん、白玉あんみつ、クリームあんみつ豆、抹茶ゼリー、夏はふわふわ食感のかき氷など和スイーツ系が自慢だ。とはいえ店のたたずまいは黒一色のスマートな椅子がずらりと並ぶシックな雰囲気で男性の常連客も多数。しっとりとした時間がながれる喫茶店。
⑫ ドリアン
午後も頑張れる「いってらっしゃい」
名古屋駅から歩いて数分の那古野交差点近くにある老舗の喫茶店。年季の入った外観にくらべ店内はさっぱりときれい。ただ1階・中2階・半地下という最近ではなかなか見ないユニークな構造が時代を感じさせる。
サラリーマンの憩いの場所としてにぎわうが、とくに昼時は盛況。日替わりランチ、日替わりあんかけパスタ、インディアンスパ、カレーライス、しょうが丼がランチメニューとしてオンリスト。インディアンスパは豚肉と玉ねぎの入ったピリ辛のソースが食欲をそそる。コーヒーや野菜ジュース、リンゴ酢などのフリードリンク付き。午後の仕事前のホッと一息を終えた人たちにスタッフがかける「いってらっしゃい」の一言が温かい。パスタやカレーは14:30以降も軽食メニューとして出しているので遅めのランチとしてもぜひ。
⑬ 喫茶モーニング
モーニングを自分流にカスタマイズ
名古屋駅西銀座通商店街にある古民家をリノベーションした喫茶店。名古屋の人気ホステル「グローカルカフェ」が名古屋の街活性化をめざし、多くの人の協力を得て2019年5月にオープンした。
今や名古屋名物の代表格ともなった「モーニング」をたくさんの人に楽しんでもらおうと、一日中モーニングを提供している。自家焙煎コーヒーをはじめ500円~のドリンクを注文するともれなく玉子、サラダ、トースト、ヨーグルトがセットになる(ドリンクのみももちろんOK)。また、プラス100円でサンドイッチセットに、プラス200円でチキンカレーセットやケーキセットに変更可能。さらにトースト追加、玉子追加、サラダ大盛りなど良心的な追加料金制で細かな希望にこたえ、名古屋のモーニングを自分流にアレンジできるのがうれしいポイントだ。
キッズセットありで子連れも気兼ねなく、Wifi整備で観光客のふらっと立ち寄りも大歓迎。昔ながらのたたずまいそのままに、すべての人に開かれた新しいカタチの喫茶店。
中村区役所駅から徒歩5分
⑭ ホットジャム
地元に溶け込むまどろみ名古屋時間
名古屋駅西側を走る清正公通沿いのこじんまりとした喫茶店。黄色の看板とガラス窓の緑のラインが目印で、中に入るとオールディーズのBGMが耳に心地よい。8:30~10:00のモーニングは370円の飲み物+トーストのセットが基本。小さなトレイにのっかった半切りトーストとホットコーヒーのビジュアルは、「Simple is Best」を体現したかのよう。ちょっとさみしいという人にはハムエッグやサラダがついたセットメニューがおすすめだ。
ランチの限定メニューはなく、ホットドッグ、ドリア、ピザトーストなど昔ながらの喫茶店メニューをマイペースに提供する。そんな軽食を気ままに楽しみながら地元の人に混じってまどろむ午後のひとときは、何より濃厚な名古屋時間といえそうだ。
⑮ サンラファエル
“アメリカの田舎町” でくつろぎの非日常を
名古屋駅から北の方角へ徒歩約5分。住宅地が広がる西円頓寺にある明るくくつろいだ雰囲気の喫茶店。カリフォルニアにある緑豊かな町の名前を冠した店は、「ゆっくりとおだやかなひとときを過ごしてほしい」というマスターの気持ちが込められている。
ドリップで淹れるコーヒーは豆の香りや味を損なわないように「蒸らし」の作業を丁寧に行う。ここのコーヒーが好きで週に何度も通う常連さんもいるとか。また食事メニューにもこだわり、アボガド入りでクリーミーな味わいのミックスサンド、玉子のふわとろ感がたまらないエッグトースト、ほどよい焼き加減が香ばしい小倉のプレスサンドなど、シンプルながら一工夫ある一品をそろえている。
駐車場完備で遠方からのお客さんも大歓迎。アメリカの田舎町に迷い込んだような心洗われる非日常体験をぜひ味わって。
[土曜・日曜・祝日] 8:30-17:00
芳しき名古屋の喫茶店、今昔。
「喫茶店」と「カフェ」はちがう。実際、開業にあたって申請する許可証が異なるのだが、それ以外にも、なんといおうか、空気感のようなものがちがうと思う。昭和初期に生まれた喫茶店の中には、女性ウェイトレスがアルコールを提供する大人ムードな店もあったが、そうでない店は「純喫茶」として区別された。ここに紹介した喫茶店はそれにあたる。カウンターに並ぶ古ぼけた雑貨や年季の入ったソファ、今ではあまり見ない柄ものの壁紙や吊り下げ型のレトロな照明器具。ノスタルジックな空間に足を踏み入れると、自然と気持ちがおだやかになっていくから不思議だ。
とはいえ、名古屋の老舗喫茶店はおだやかで静かなだけではない。その価値が再確認されたり新しい挑戦をしたりで今や全国区の人気を誇っている。宝探しのごとくお気に入りの一店にめぐり会うため、いざ、芳しき名古屋の喫茶店めぐりに出かけよう!
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